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短くわかる民事裁判◆
再審の本案の判決に対する上訴
 再審開始決定が確定し、本案の審理が行われて本案の判決が言い渡された場合、それに対する不服申立ては、通常の訴えについての判決と同様、控訴、上告となります。
 再審は、再審請求の対象となる確定判決が控訴審判決であれば、その判決は控訴審判決ですから、その審級に応じた上訴手続によることとなります。
 最高裁1963年12月27日第二小法廷判決は、「地方裁判所が控訴審としてなした判決に対する再審事件について、同地方裁判所が言い渡す判決は控訴審たる資格でなすものであるから(民訴423条)、右再審事件の終局判決に対する上訴としては、高等裁判所に対する上告のみが許される」として、熊本地裁が控訴審として行った判決に対する再審の判決に対し福岡高裁が控訴審の手続で控訴審の判決をしたことは失当として原判決を破棄して福岡高裁に差し戻しました。
 最高裁1967年7月21日第二小法廷判決も、同様に、神戸地裁が控訴審として行った判決に対する再審の判決に対し大阪高裁が控訴審の手続で控訴審判決をしたことは失当として原判決を破棄し大阪高裁に差し戻しています。
 また最高裁1955年9月9日第二小法廷判決は、福岡高裁が上告審として行った判決に対する再審の判決に対して行われた上告につき、「高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対しては、その判決に憲法の解釈の誤のあることその他憲法の違背あることを理由とするときに限り、当裁判所に上告をなし得ることは民訴四〇九条ノ二第一項の定めるところである。」として、特別上告として扱い、特別上告理由(憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること:現行民事訴訟法第327条第1項)がないとして「本件特別上告を棄却する。」としました。

 再審請求は控訴審判決に対してすることが多くなります(控訴審が本案判決をしているときは第1審に対して再審請求できないため:民事訴訟法第338条第3項)。元の裁判では控訴審だったのですが、再審請求としては初回の判決なので、これに対する上訴を控訴と錯覚しかねませんので注意が必要です(最高裁1967年7月21日第二小法廷判決のケースは、当事者は上告状を提出しているのに裁判所側が間違って控訴扱いしたとされています。裁判所が間違うくらいですから…)。

 上訴の手続は、通常の訴えでの控訴、上告と同じと考えられます。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

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