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短くわかる民事裁判◆
有罪判決要件:対象となる犯罪
 民事訴訟法第338条第2項が4号〜7号再審事由について課している有罪判決要件(罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる)を満たすための有罪判決・過料の裁判は、再審事由となる判決に影響を及ぼす犯罪行為(5号再審事由なら当該「罰すべき他人の行為」、6号再審事由なら判決の証拠となった文書等の偽造・変造、7号再審事由なら判決の証拠となった証人・当事者等の虚偽の陳述)についてのものであるのが原則です。

 最高裁1964年7月9日第一小法廷判決は、確定判決の証拠となった当事者の虚偽の陳述が、その陳述について過料の裁判がなされてはいないものの、虚偽の陳述により確定判決を詐取したとして詐欺罪の有罪判決を受けたという事案で、「原審の適法に確定したところによると、上告人(再審被告)は被上告人(再審原告)から本件3万円の弁済を受けているにかかわらず、これを受けないとして民事の確定判決(前2審)を受けたことが、裁判所を欺罔して財産上不法の利益をえた詐欺罪に当るものとして、有罪の確定判決を受けたが、前2審の確定判決は、宣誓した上告人が本件3万円の弁済を受けていない旨陳述した供述と他の間接事実とによって、上告人勝訴の判決をするに至ったものであるというのである。そうだとすると、前2審において勝訴判決の証拠となった上告人本人の供述は、右金3万円の弁済の点に関する限り、虚偽の陳述であるということになり、かかる場合、当該陳述をしたこと自体が処罰されていなくとも、上告人が前記の有罪判決を受け該判決が確定したときは、民訴420条1項7号、2項に該当すると解した原審の判断は、当裁判所も正当としてこれを支持する。」として、有罪判決要件(民事訴訟法第338条第2項の要件)を満たすとしました(判決が引用する民事訴訟法の条項は当時のもので、現行民事訴訟法の条項とは異なります)。
 この場合は、虚偽の陳述で確定判決を詐取したという実質的には再審事由(7号再審事由)自体が処罰されたとも言え、ある意味、虚偽の陳述が処罰された場合よりもさらに再審を認めるのにふさわしいと考えられます。

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