◆短くわかる民事裁判◆
即時抗告決定に対する不服申立て
即時抗告に対する抗告審の決定に対して不服がある場合、どのような不服申立てが可能でしょうか。
原決定が簡易裁判所の決定、したがって抗告裁判所が地方裁判所の場合、即時抗告決定に対しては、再抗告(民事訴訟法第330条)が可能です。
※即時抗告に対して原裁判所(簡易裁判所)が却下決定をした場合(民事訴訟法第331条、第287条第1項)及び抗告裁判所(地方裁判長)の裁判長が抗告状却下をした場合(民事訴訟法第331条、第288条、第137条第1項、第2項)は、再抗告ではなく最初の即時抗告です(民事訴訟法第331条、第287条第2項、第137条第3項)。
再抗告については、「民事裁判手続中の決定等に対する再抗告:1審簡裁の場合」とそのリンク先のページで説明しています。
原決定が地方裁判所の決定、したがって抗告裁判所が高等裁判所の場合、即時抗告決定に対して再抗告はできず、許可抗告(抗告許可申立て)か特別抗告しかできません。
※即時抗告に対して原裁判所(地方裁判所)が却下決定をした場合(民事訴訟法第331条、第287条第1項)は、再抗告ではなく最初の即時抗告ができます(民事訴訟法第331条、第287条第2項)。高裁の場合は、高裁の裁判長による抗告状却下の場合であっても即時抗告はできず、許可抗告か特別抗告のみになります。
許可抗告と特別抗告については、「高裁の決定に対する不服申立て:許可抗告・特別抗告」とそのリンク先のページで説明しています。
再抗告(あるいは即時抗告)ができない即時抗告審決定は、(抗告許可申立てや特別抗告をしても)決定の告知(決定書謄本等の送達・送付)により確定します。抗告許可申立て(さらに言えば抗告許可があっても)や特別抗告提起には確定遮断力はないと解されています。
そうすると、再抗告ができない即時抗告審決定に対しては、再審事由(民事訴訟法第338条第1項各号)があるときには、(抗告許可申立て、特別抗告提起中であっても)準再審の申立てができることになります。9号再審事由(判断の遺脱)については決定書の送達(送付)を受けたときに再審事由を知ったものと扱われてしまいます(そのことについては、「9号再審事由(判断の遺脱)と再審期間」等のページで説明しています)ので、確定後再審事由を知った日から30日の出訴期間(民事訴訟法第342条第1項)は、抗告許可申立てに対する決定や特別抗告に対する決定を待たず、即時抗告の決定書の送達(送付)を受けた日からカウントされるであろうことに注意が必要です。
準再審については、「準再審」とそのリンク先のページで説明しています。
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