庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
訴訟費用額確定処分の申立期限
 訴訟費用額確定処分は、いつまでに申立てなければならないでしょうか。実は、訴訟費用額確定処分の申立てには時間的な制限はありませんでした。
 訴訟救助を受けた訴訟費用の支払義務が、裁判所が具体的な額を定めて行う支払決定があって初めて生じる(したがって、それまで消滅時効が進行しない)とされる(それについては、「猶予された訴訟費用支払義務の消滅時効」で説明しています)のと同様、敗訴者(訴訟費用の負担を命じられた者)の訴訟費用支払義務も、訴訟費用額確定処分があって初めて生じ、それまで消滅時効が進行しないということになります。
 もっとも、訴訟費用額確定処分は、事件記録がないと事実確認ができないため、現実にはできませんから、事件記録が原則として確定後5年で廃棄されることによる制約があります。

 2022年5月18日成立の民事訴訟法改正で、訴訟費用額確定処分の申立ては「訴訟費用の負担の裁判が確定した日から十年以内にしなければならない。」と定められました(新法第71条第2項)。
 この条項の施行日は公布の日(2022年5月25日)から4年を超えない範囲内で政令で定める日で、まだ決まっていません(いわゆるIT化の全面施行の日ですが、もう1年以内には施行しなければならないのというのにまだ決まっていないというのは…)。
 附則の経過規定上、施行日以後に提起される訴え(施行日後の訴えがそれ以前に提起されたとみなされる場合を除く:例えば労働審判からの訴訟移行で訴訟以降は施行日後でも労働審判申立てが施行日前のものなど)、訴え以外で施行日以後に開始される民事訴訟に関する事件についての訴訟費用の負担の額を定める申立てについて、この新法の10年の期間制限が適用されます(附則第2条)。
 したがって、これまでに提訴されたとか既に確定している民事裁判については、さらにはこれから新法の施行日より前に提訴する民事裁判については、法律の規定上は、いつまでたっても訴訟費用額確定処分の申立てができるということになります。実際上は、事件記録が廃棄されてしまえば、裁判所が(書記官が)訴訟費用額を確認できないので、処分ができないということになりますが。

 訴訟費用とその取り立てについては「訴訟費用の取り立て(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
  

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話