◆弁護士の仕事◆
特別法や詳細な条文は覚えていないのがふつうで、必要になったら調べる
細かい条文の知識よりも、法体系の全体や調べ方がわかっていることが大事
現実の紛争(事件)解決には、法律の知識よりも事実認定や証拠評価などの方が必要
そんなことはありません。
法律家について時々持たれる大きな誤解です。
弁護士は、通常、基本的な法律と自分が取り扱っている事件に関係のある法律とそれに関連する裁判例くらいしか知りません。
特別法の類は、突然聞かれてもわからないことがよくありますし、最近のように、重要な法改正が議員立法で簡単に国会を通ってしまう状況では、とても法改正について行けません。ですから、特別法の細かい規定に関しては、相談者の方が自分でインターネットで調べてきていると、相談者の方の方が、条文についてはよく知っていることもあります。
しかし、残念ながら相談者の方がインターネットなどで調べてきた知識で考えることは、結果的には間違っていることが少なくありません。法律の条文は、全体的な法体系の中での位置づけを考えて読む必要がありますし、別の条文で適用が除外される例が規定されていたり、別の条文と合わせ読むと違う結果になることも少なくありません。弁護士だと、その条文自体を知らなくても、普通そういう結果にはならないよなという感覚で調べてみて気がつくことがあります。また当事者の方はどうしても条文を自分に有利に読む傾向がありますので、同じ条文でも弁護士が見るとそういう解釈は無理でしょうということが少なくありません。そして、率直に言って、インターネットで流れている知識には誤ったものが少なくありません。
弁護士は、特定の条文について知らなくても、法律の体系なり、よく似た問題でどういう規定や裁判例があるかで大方の判断ができます。また直接に知らないことでも何を調べればわかるかなどは知っています。
事件の解決や裁判には、実際には、法律の知識よりも証拠や証言の評価、事件の事実関係の把握、事件の現実的な解決方法の落としどころの見通しの方がはるかに重要です。そして法律知識については裁判や交渉の段階で調べれば十分対応できます。
ですから、突然「この条文を知っているか」というように知識を試すようなやり方をされれば知らないことが多いですが、細かい法律の規定など知らなくても弁護士の仕事にはまず差し支えありません。
**_****_**