私の読書日記 2026年5月
01.ジャカランダの樹 ガエル・ファイユ 早川書房
パリで暮らすルワンダの虐殺の生存者でルワンダでのことを語らないヴェナンシアがパリで出会ったフィリップと結婚して生んだ息子ミランが、中1のときに一時パリの家に引き取られてきた頭部に深い傷を負ったクロードとの交流を機にルワンダでのできごとに関心を持つようになり、ルワンダに渡航して初めて祖母に会い、ルワンダに戻っていたクロードと再会しルワンダの青年たちと過ごすうちに考えや人生を変えていくという小説。
虐殺を生き延びた者の子世代が、虐殺の被害者・加害者、その対立と感情を前にしてどのような影響を受け、どのように生きていけるかというようなところがテーマかと思われます。
プロローグ(と題されているわけではないのですが)で、ミランよりも一世代若いステラの医師からPTSDを疑われる自閉が描かれ、読者の関心を引きつけます。そのステラの母ウセビーに対する反発・反感、母の無理解・鈍感さへの非難が何度か描かれるのですが、自身が虐殺の被害者・生存者でシングルマザーとしてステラを育てながらルワンダ社会の再生に向けた仕事に打ち込むウセビーは、どうしなければならなかったというのか(218~228ページでウセビーが虐殺のときの自己の経験を語っています。これだけの凄絶な経験をした者がルワンダに残り子育てをしながら国会議員になって国と社会の再生のために働いている、それを読むだけで、私は感嘆し涙してしまいます)、これほど頑張ってきてなお、作者にステラを材料に非難されるウセビーがかわいそうだと、私はそっちの方が気になってしまいました。
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