◆私のお薦め本◆
あなたは死ぬまで騙される!
「あなたは死ぬまで騙される! 悪徳訪問販売元社長の告白」
三宅義人著 宝島社 2004年
 悪徳訪問販売業者の営業マンと経営者をしていた著者が、自らの経験を元に悪徳業者の手口を語るというふれこみの本です。
 消費者側の弁護士が、悪徳業者はこういうことをやっているだろうなと思っていることが、事実として具体的に述べられています。弁護士としては、「やっぱりそうだったのか」と思う本です。
 私が、いちばんビックリしたというか、やっぱりそうだったのかと思ったのは、妻を説得して夫に内緒で夫名義でローンを組ませたときに信販会社(クレジットカード会社)の意思確認電話をどうクリアするかの話。夫が知らないとばれたら、訪問販売会社の営業マンが夫の留守中の自宅に行って夫になりすまして確認電話に対応するそうです(118頁〜120頁)。私も裁判で保証人の意思確認を争ったことがあります。保証人は信販会社からの電話などかかってきていないと強く主張していました。信販会社は電話確認の担当者を証人として出してきましたが、当然一々その電話の時のことなんて覚えていません。ただ当時電話確認担当者がチェックしたおきまりのチェックシートがあるだけ。それでも裁判所は、ルーティーンの確認作業だからいつも通りチェックシートに沿って適正に行われたと簡単に認定して、保証人は電話で保証の意思確認をしたと判断しました。今度その種の事件があったら、裁判官に読ませてやりたいですね。もっとも、この本を証拠に出しても、本件でそういうなりすましが行われたと認めるに足りる証拠はないと、一蹴される可能性が高いですけど。
 ほかにも、クーリング・オフ(訪問販売後、基本的には8日間、自由に解除できる制度)の申し入れをどうごまかすかとか、訪問販売の営業マン自身騙されて入社しているとか、興味深い話が満載です。もちろん、こういうやり方でガンガン売りつけたというセールストークの話も、さすがというか、納得します。
 そういう弁護士的な興味をおいても、単純な読み物としても、ものすごく面白いです。
 ただ、この本を読んでおけば、悪徳訪問販売に騙されないという発想は捨てた方がいいと思います。悪徳業者は常に進化していますから、この本を読んで理論武装した人もコロッと引っかかるようなさらに上級のテクニックを開発していると踏んでおくべきでしょう。

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