◆私のお薦め本◆
「心理テスト」はウソでした。
「『心理テスト』はウソでした。受けたみんなが馬鹿を見た」
村上宣寛著、日経BP社、2005年
・血液型人間学
 血液型で統計学上有意な差が出る性格項目はごく少ない上、有意な差が出る項目はいわれている血液型の方向と合わない
・誰でも(ほとんどの人が)「はい」と答える質問項目でテストすれば当たっていると信じ込ませられる(バーナム効果)
・ロールシャッハテスト
 検査者の(主観的)解釈で結果が大きく違う
 「世界標準」とされるエクスナの基準データを用いると多くの人が精神障害者と判断され、アードバーグとシェイファーの基準データを用いると多くの人が正常と判断される。
・矢田部ギルフォード性格検査
 当初から質問項目が7項目変わっているがデータを取り直した再標準化が行われていない
 再検査信頼性係数が高くない(実施する度に結果が違う)
・内田クレペリン検査
 健常者とされる「定型パターン」を示す人は元々半分程度の上、繰り返すと非定型と判断される割合が増える
 非定型(異常と判断される)判断の基準となる「変動量」の信頼性係数が低い
 要するに、権威ある心理テストとして用いられてきた検査が、どれも当てにならない、検査者の主観で大きく左右されるという話です。
 私は、もちろん、この分野について詳しいわけじゃありませんから、どこまで当たっているかは判断できません。しかし、ここまではっきりダメと断言されると、痛快ですし、読み物としても面白く読めました。しかも、これを「フリージャーナリスト」とかじゃなくて、心理学の教授、それも「ロールシャッハテスト」の教本を書いてた人が書いたんです。それだけでも一読の価値ありと思いますよ。
 私の経験した領域でいうと、ここでいわれているバーナム効果って、詐欺商法の手口ですね。特に統一教会信者が街頭で霊感商法の声かけをするときのやり方。誰彼かまわず「転換期ですね」とかいってれば、思い当たって「わかります?」なんて答える人が出てきます。そこで「当てられた」と思ったら、もうほぼ引っかかってます。声をかけても何いってんのと思って無視して行っちゃう人が大半ですが、勧誘側からはそれはほっとけばいいだけの話。何%か引っかかれば御の字ですからね。
 そして、私たちの領域で心理テストといえば、何といっても、少年事件での少年鑑別所(東京では練馬鑑別所)の鑑別結果です。今度、少年事件をやるときは、この本も引用して心理テストがいかに当てにならないかを論じたら・・・鑑別所や調査官が余計意地になって悪い意見を書いてくるだけかな。

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