◆たぶん週1エッセイ◆
弁護士の手持ち事件
「ドラマや映画との違い」でも書いているように、1件の事件に専念している弁護士は、まずいません。私は、日弁連広報室嘱託時代(1989年から1993年)から、あちこちでそうアピールしてきましたし、自分が書いた小説「その解雇、無効です! ラノベでわかる解雇事件」(モバイルサイトで公開:こちら)でも、その前提で、多数の事件や依頼者との打ち合わせ・相談を並行してこなす弁護士の姿を描きました。
では、弁護士はどれくらいの事件を同時並行でやっているのかと聞かれると、以前は、ざっと東京の弁護士で20〜30件、地方の弁護士はもっと多くて数十件とか多ければ百数十件かもなんて答えていましたし、最近は少し減った感があるので、東京では十数件くらいかななんて言っていますが、もちろん、それは弁護士によってそれぞれです。
今、私の場合、ということで数えてみると(実は、ふだんあまり数を意識していないので、改めて数えてみると実感より持ってるのねと思いましたが)、こんな感じです。
裁判事件が
解雇・雇止め事件:8件
東京地裁5件、その他地裁3件
残業代請求事件:2件
東京地裁1件、その他地裁1件
(合わせて労働事件10件)
東京地裁は、今、労働部(専門部)が11部、19部、33部、36部の4つあります。
提訴の順番で機械的に割り振られるのですが、なぜか偏ることが多いです。
私は昨年時点では11部に5件もありましたが、今では11部は1件にまで減って、今は36部に3件あります。
過払い金請求事件:3件
東京高裁1件、東京地裁1件、その他地裁1件
過払いの事件は、大量宣伝事務所に持って行かれて最近はほとんどないという消費者側の弁護士も多いですが、私は、少しですけどコンスタントにあります。
一般民事事件:7件(建物明け渡し1件、離婚1件、損害賠償請求など金銭請求5件)
東京高裁2件、東京地裁3件、その他地裁2件
破産管財事件:1件
東京地裁1件
原発訴訟:2件
その他地裁2件
交渉事件が2件
原発訴訟は、弁護団の中でどういう位置づけか(中心メンバーか、名前を連ねるだけか等)によって大きく違いますけど、まぁやっぱりとても負担が大きいです。
労働事件は、近年の東京地裁の事件は特に、使用者(会社)側の弁護士が、依頼者へのアピールのためか、弁護士費用が会社側ではタイムチャージ(従事した時間1時間あたりいくら)で支払われるせいか、とても(多くの場合無駄に)分厚い書面を出してくるので、労働者側の弁護士(こちらは弁護士費用はいくら時間を使っても増えない)の負担はかなり重いのが実情です。
そういうことを考えると、弁護士の労力は決して件数に比例しませんので、何件持っているというのにどれだけの意味があるのかという気もしますが、現時点では私は訴訟事件23件、交渉事件2件持っているということになります。
ちなみに、今年の1月1日現在だと
解雇・雇止め事件:9件
残業代請求事件:2件
過払い金請求事件:2件
一般民事事件:8件
破産管財事件:1件
原発訴訟:2件
交渉事件:2件
でほとんど変わりません。
この半年弱の間に、新たに始まった事件が10件、終わった事件が11件です。
こうしてみていると、今では労働事件、特に解雇・雇止め事件が私の仕事の多くの部分を占めていることがわかります。私のポリシーとしても、解雇・雇止め事件は、労働者の生活やさらには人生がかかっていることが多いこともあり、労働者(依頼者)に闘う意思があり依頼したいと言われれば基本的に受けているので多くなっています。近年、特に東京での労働事件は、労働者側の弁護士の負担が大きく、疲れるのですが、今後も解雇・雇止め事件中心でやっていくことはたぶん変わらないでしょうね。改めて、頑張ろう、と思います。
(2021.6.22記)
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