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たぶん週1エッセイ◆
映画「ガガーリン 世界を変えた108分」
ここがポイント
 人類初の宇宙飛行に挑むガガーリンの恐怖と勇気がテーマ。だが、戦闘の恐怖とどれだけ違うのか
 私なら冒頭を打ち上げシーンにして、ラストを地球着陸にしてちょうど108分でまとめる

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 世界初の有人宇宙飛行をした宇宙飛行士ユーリー・ガガーリンを描いた映画「ガガーリン 世界を変えた108分」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、全国5館、東京で2館の上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町シアター1(161席)午後2時15分の上映は9割くらいの入り。

 ソビエトの農村で大工の子として生まれたユーリー・ガガーリン(ヤロスラフ・ジャルニン)は、工業学校に行き空軍パイロットとなった後、3000人のパイロットから20人の宇宙飛行士候補生に選ばれた。さまざまなテストを経て、6人、2人と候補が絞られ、打ち上げの直前になって、最終的にガガーリンが最初の宇宙飛行士に選ばれた。2人の子とともに留守宅で待つ妻ワーリャ、事前に知らされずラジオ放送でガガーリンの飛行を知る母、村人から知らされる父らの心配をよそに、ガガーリンは世界初の地球周回を経験し、打ち上げより遥かに難しいと言われていた大気圏再突入に挑み…というお話。

 人類初の宇宙飛行に挑むガガーリンの恐怖と勇気というようなものがテーマで、それはそれなりに共感できるところがあります。
 もちろん、現在のような宇宙開発の経験と知識を経た状況で見る宇宙飛行と、当時の未経験(そもそも無重力状態で人間が生存できるか、脳は大丈夫かというあたりからしてわからなかった)から想像する宇宙飛行では、イメージがまったく違うでしょうけど、「インターステラー」のような生きているうちに帰ってこられるか疑問というような長期間の宇宙飛行ではなく、うまく行く限りはその日のうちに帰ってくるというスケジュールの宇宙飛行に、妻が行かないでという展開になるものか。命の危険があるのはそうなんですが、1960年代のソ連の空軍パイロットという条件で考えたら、戦闘訓練や実際の戦闘で死ぬ可能性だった相当程度あったはずで、そういう意味では全然違うレベルの恐怖ということではなかったんじゃないかとも思ってしまいます。

 むしろ、宇宙飛行士の選抜の過程で、落とされていく候補生の心情とか、そっちの方に興味を感じたりもしました。

 ガガーリンといえば「地球は青かった」という記憶で見ている身には、いつあの言葉が語られるのだろうと待っていたのですが、最後まで登場しません。映画を見終わってから気になって調べてみたら、ガガーリンは「地球は青かった」とは言っていないのだそうな。そういうところは勉強になったとは言えますが、ちょっと拍子抜け。

 サブタイトルにあるように、ガガーリンの宇宙飛行は108分間。この作品は113分ですが、私だったら、そういう話なら、冒頭を打ち上げシーンにして、ラストを地球着陸にしてちょうど108分でまとめるな。それでガガーリンの宇宙船から見る映像と宇宙船内での言動に過去を挟む形にして、地球一周飛行の長さを体感させるという構成の方がいいと思うのですが。
(2015.1.5記)

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