たぶん週1エッセイ◆
映画「ストロベリーナイト」
ここがポイント
 姫川玲子が禁断の恋に落ちるというが、「恋に落ちた」みたいな幸福感というかときめきが感じられない
 どこから見ても、幸せな思いをする人が出て来ない、三浦友和が久しぶりにちょっと渋くてよく見えたかなくらいが救いの重苦しさが残る映画

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 過去の傷を持つ女性刑事のテレビドラマシリーズを映画化した「ストロベリーナイト」を見てきました。
 封切り初日土曜日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午前10時20分の上映は7割くらいの入り。初日とはいえ、舞台挨拶なしの土曜日午前中でこの入りはさすがはテレビの威力。

 警視庁捜査1課姫川班班長の警部補姫川玲子(竹内結子)は、管内で発生した龍崎組傘下の暴力団構成員の殺人事件が他の2件のいずれも同じ龍崎組傘下の暴力団構成員が殺害され左目が切られていた殺人事件と同一犯とみて設けられた合同捜査本部で龍崎組の組長の跡目争いの内部抗争と見る組対4課と対立し、さらにはたまたま受けた「犯人は柳井健斗」というタレコミ電話に対して上層部から柳井健斗には触れるなという命令を受けたため、会議に出席せずに1人で柳井健斗を追い続けた。柳井健斗(染谷将太)は、9年前に発生した殺人事件で警視庁が父親が性的虐待を続けていた娘の住まいを見つけ出してレイプ殺人に及んだとして逮捕したが被疑者が容疑を否認して自殺した事件の被害者の弟であり自殺した被疑者の息子だった。警視庁は、被疑者の死後、被疑者にアリバイがあることを知ったが、それを黙殺して被疑者死亡で事件を処理していた。目の前で父親が容疑を否認して拳銃自殺した柳井健斗は、姉の恋人だった暴力団構成員に追いすがり叩きのめされた。今回の殺人事件の被害者は、その柳井健斗の姉の元恋人だった。姫川は柳井健斗のアパートの前で張り込むうち、訪ねてきた不動産業を名乗る牧田(大沢たかお)から柳井健斗の情報を探り出すべく繰り返し接触するが、他の2件の殺人事件に加え龍崎組若頭が殺害され組対4課がマークしていた対象が龍崎組若頭補佐の牧田だった。捜査会議に欠席し続け牧田と密会を続ける姫川に組対4課の怒りが爆発するが、事情を知らされていない姫川班は困り・・・というお話。

 家族を暴力団の手で奪われ復讐に燃えた過去を持つ牧田と、同様の境遇の柳井健斗、自身がレイプ被害にあった過去の傷を抱える姫川玲子の3者の哀しみと暗い思いが物語のバックボーンになっています。
 姫川玲子が禁断の恋に落ちるというのですが、見ている限りどうにも「恋に落ちた」みたいな幸福感というかときめきが感じられず、絡みのシーンでもどこか寒々とした感じがします。心の傷を引きずっているからということかなとも思いますが、傷ついた過去を持つ者同士が傷をなめ合っているとさえいいにくいような、投げやり一歩手前くらいの竹内結子の表情には複雑な思いを持ちました。
 姫川に思いを寄せながら部下として信頼を得る菊田(西島秀俊)が、牧田と対峙しおまえには姫川は無理だと囁かれ、さらには目の前の車の中で姫川が牧田とHしているのを察しつつ車の中で待たざるを得ないというあたり、同性として、その心情は察するにあまりあるというところ。
 どこから見ても、幸せな思いをする人が出て来ない、三浦友和が久しぶりにちょっと渋くてよく見えたかなくらいが救いの重苦しさが残る映画でした。
 原作を読むと、映画の原作はタイトルの「ストロベリーナイト」じゃなくてシリーズ第3作の「インビジブルレイン」ですし、登場人物の「恋」男女関係がらみで、姫川玲子がHするかどうか、菊田と牧田の関係・場面が、原作と大きく違うじゃないのと思ってしまいます。
 原作の「インビジブルレイン」と、シリーズの原作の感想を2013年4月の読書日記に書きました。
(2013.1.27記、2013.4.21原作を読んで更新)

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