庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「トゥ・ザ・ワンダー」
 テレンス・マリック監督最新作「トゥ・ザ・ワンダー」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿武蔵野館スクリーン2(84席)午前11時の上映は2〜3割の入り。一人客が目につきました。

 フランスのモン・サン=ミシェルでシングルマザーのマリーナ(オルガ・キュリレンコ)と恋に落ちたニール(ベン・アフレック)は、マリーナとその娘タチアナとともにアメリカのオクラホマに移住し、環境調査の仕事を始める。ニールはタチアナを実の娘のようにかわいがっていたが、タチアナは学校で友達ができず、パリに帰りたいといい、マリーナのビザが切れるのを機にマリーナとタチアナはパリに帰る。ニールはその後幼なじみのジェーン(レイチェル・マクアダムス)と接近し、タチアナはマリーナを置いて父親の元に行ってしまい、パリで孤独に暮らすマリーナはニールに助けを求める。結婚すれば永住権を取れるといわれたマリーナはオクラホマに戻り、ニールと結婚するが、2人の間にはすきま風が吹き…というお話。

 男女の愛の美しさ・幸福感とそのうつろいやすさ・哀しさを美しい映像で象徴的に描いた作品、という紹介が一番ふさわしいでしょう。
 それぞれのシーンの映像はとても美しく、ところどころその美しさだけでホロリと涙ぐむような映像が見られます。
 しかし、人間が登場する場面のつなぎの部分で、人物の感情の流れがうまくつながっておらず、ぶつ切り感を持つところがあり、妙な居心地の悪さを感じてしまいます。
 ストーリーとしてみるには、説明が少なく、一番大事なニールとマリーナの関係にしても、ニールがマリーナを呼び戻した経緯、ニールとマリーナの心が離れていった経緯が、見ていてよくわかりません。マリーナの夫が離婚に応じた経緯も、ジェーンがどうなったのかも今ひとつわかりませんでした。理解できない点が多いから To the Wonder と題した訳じゃないと思うんですが。
 そういうそれぞれのシーンはとても美しいがぶつ切り感が強く見ていてよくわからんという印象からしても、「ツリー・オブ・ライフ」のラブ・ストーリー版というべきでしょう。「ツリー・オブ・ライフ」よりはストーリーから離れた環境映像っぽいシーンが続く場面は少なくて、「ツリー・オブ・ライフ」で寝ていた私の同伴者もこの作品では最後まで起きていましたけど。

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