庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

女の子が楽しく読める読書ガイド
残された天使たち (原題 : Running Home)
テレサ・ドラン作  2003年
 家庭崩壊状態の両親と一緒にイギリスの南端まで来てそこで父親が母親を銃殺して自殺。後に残された12歳の少女ケイトと6歳の妹エフィが警察や誘拐犯の手を逃れ、行きずりの家族に助けられたりしながらアイルランドの祖父母のうちを目指して冒険旅行を続けるお話。
 ケイトは、もちろん超能力もないし、ごく普通の少女。くじけそうになりながら、妹を心配させたくなくて気丈にがんばります。トラックの荷台に忍び込むときも、妹に、メキシコから来た逃亡中の銀行強盗「バズ&リンゴ」ごっこだと説得します。それになりきった妹から励まされたりもしますけど。
 この2人が大人が一緒じゃないと駅員にばれて列車に乗れず逃げたり、誘拐犯に追われたり、イチゴを積んだトラックに忍び込んでイチゴ泥棒として追われたりしながら旅を続けます。ケイトはその過程で、孤児院から逃げてきたと作り話をしたり、化粧をして大人のような顔をして切符を買ったり、知恵と度胸で乗り切っていきます。
 母親は、ケイトたちに女の子らしくして欲しかったようで(85頁とか)、ケイトもそうしなくちゃという気持ちもあるようですが、女の子らしい格好は好きじゃないようです(337頁とか)。エフィは口に指を2本突っ込んで口笛で大きな音を出せます(85頁)。ケイトは同じ年くらいの男の子たちに絡まれても一歩も引きません(87頁〜、257頁〜。内心はビクビクですが・・・)。誘拐犯が夜の墓地を怖がっているのにケイトとエフィは平気です(213頁、222頁〜)。
 元気はつらつという感じじゃないし、最後は安心して泣きじゃくったりします。でもそういう少女ががんばれるというところに、読む側は共感するかなと思います。
 私の好みとしては、子どもに読ませるのには最初に両親の殺害シーンが出てくるのはちょっと暗すぎるし、最後は警察に保護されるんじゃない方がいいと思いますけど。

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