◆短くわかる民事裁判◆
合議事件と単独事件
地方裁判所と家庭裁判所では、裁判官が3人で担当する合議事件と裁判官が1人で担当する単独事件があり得ます(簡易裁判所ではすべての事件で1人の裁判官(裁判業界では単独体:たんどくたい ともいいます)が審理を行い、最高裁判所、高等裁判所ではすべての事件で3人以上の裁判官の合議体(ごうぎたい)で審理します)。
民事裁判については、地裁について、簡易裁判所が1審の事件の控訴事件は合議体で審理することが定められている以外には、法律上合議体で扱うこととされているもの(法定合議事件:ほうていごうぎじけん)はありません。
合議事件にするかどうかは、その事件を担当することになった裁判所(担当部)が、事件ごとに決めています(裁判所の判断で合議事件としたものを裁判業界では「裁定合議(さいていごうぎ)事件」と呼んでいます)。重大な事件、複雑な事件等が合議事件とされるということになっていて、行政事件や国家賠償請求(これらは国等の行政が被告になる事件ですね)は、合議事件となるのがふつうです。しかし、裁判所側のポリシ-により、いやふつうこんなの合議にしないでしょうと思うありふれた簡単な事件で第1回から合議というケースもあります。
最初は単独事件で始まって、途中から合議事件に変わることもあります。そういうときは、裁判官が、一人で判断するのには荷が重いとか、一人で判断していいか迷うとかいわれることがあります。
これも、裁判所側が決めることで、当事者の方でイヤだとかダメだということもできません(刑事事件についてですが、裁定合議の決定を取り消して単独事件にした決定は「訴訟法上の決定ではない」から不服申立てはできないという最高裁の決定もあります:最高裁1985年2月8日第一小法廷決定)。
途中で合議になる場合、期日の再調整で1~2か月空転します。
※当事者が著しく多数で、かつ、尋問すべき証人または当事者が著しく多数の訴訟(大規模訴訟)、特許権等に関する訴訟では、地方裁判所で5人の裁判官による合議体で行うこともできます。特許権等に関する訴訟の控訴審(東京高裁:知財高裁)も同じです。これも、裁判所の担当部がそのように決定できるということで、そうしなければならないわけではありません。
訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
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