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  ◆民事裁判の話(民事訴訟の話)庶民の弁護士 伊東良徳のサイト モバイル新館

 民事裁判の始まり 

ここがポイント
 裁判を起こしたい人(原告)が相手(被告)を決めて裁判所に訴状を出すと民事裁判が始まる
 訴状を受理した裁判所は原告の都合を聞いて第1回期日を決めて被告に呼出状と答弁書催告状を送る
   

  民事裁判はどのようにして始まるのですか

 民事裁判では、裁判を起こした人を「原告(げんこく)」、裁判を起こされた人を「被告(ひこく)」と呼んでいます。
 民事裁判は、原告が被告を決めて(誰を相手にするのかを決めて)裁判所に「訴状(そじょう)」を提出することから始まります。
 訴状には、原告と被告の氏名と住所、原告が何を請求するのか(「請求の趣旨(せいきゅうのしゅし)」といいます)、その請求の理由となる事実関係(「請求の原因(せいきゅうのげんいん)」といいます)を書きます。また自分の主張を裏付ける証拠書類があるときにはそのコピーも提出します。証拠書類を出すときは原告側は「甲第〇号証」というように番号を付けます。裁判所に出す書類は大抵そうですが、訴状も証拠書類も、裁判所に提出する「正本(せいほん)」を1つと相手方に渡す「副本(ふくほん)」を相手方の数だけ提出します(もちろん、自分の控えも持っておく必要があります。あとになって裁判所と相手方に何を出したかわからなくなったら、裁判が進められませんから)。
 訴状には請求の金額に応じて収入印紙を買って貼り付け、被告の数に応じて郵便切手を買って裁判所に納めます(その額については「裁判所に納める費用」を見てください)。

  担当する裁判所と裁判官

 担当する裁判所は、家族関係の事件(離婚裁判など)は「家庭裁判所」、それ以外の事件で請求の金額が140万円以下の事件は「簡易裁判所」、それ以外の事件は「地方裁判所」です。
 担当する裁判官の数は、簡易裁判所はすべて1人です。地方裁判所の場合、民事事件では、裁判所が重大な事件とか複雑な事件だと判断したときと、控訴事件(1審が簡易裁判所の事件の控訴審は地方裁判所が担当します)では3人の合議になり、それ以外は1人です。

  第1回口頭弁論(実際の裁判開始)までの流れ

 訴状を受け取ると、裁判所の受付が、訴状の提出された順番により、担当する裁判官と書記官を決め、担当書記官に訴状を渡します。
 書記官は、訴状をチェックして形式上問題がなければ原告の都合を聞いて第1回の裁判を開く日を決め、被告に訴状の副本と期日の呼び出し状、答弁書(とうべんしょ)の催告状(さいこくじょう)を送ります。民事裁判では法廷を開くときを「口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)」と呼んでいます(刑事裁判の場合は「公判期日(こうはんきじつ)」と言います)。
 答弁書というのは原告が提出した訴状に対して被告が最初に提出する書類のことです。答弁書には、被告が何を求めるか(ほとんどの場合、原告の請求を認めない(「請求を棄却(ききゃく)する」)という裁判を求めることになります)、原告の主張する事実関係がその通りなのか間違っているのか、被告の言い分を書きます。なお被告側も主張を裏付ける証拠書類があればそのコピーを提出します。被告側は「乙第〇号証」というように番号を付けます。答弁書の催告状には答弁書をいつまでに出すように(多くは第1回口頭弁論期日の1週間前)ということが書かれます。
 訴状が提出されてから被告に訴状の副本が送られるまでには、1週間以上かかるのが普通です。よく民事裁判が起こされたという報道で、被告側の「訴状をまだ見ていないのでコメントできない」というコメントが出ていますが、これは当然のことですね。

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