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短くわかる民事裁判◆
控訴裁判所を間違えたとき
 控訴審を管轄する控訴裁判所を間違えて、管轄がない裁判所に控訴した場合、裁判所はどのように扱うでしょうか。
※控訴状を、提出先を間違って、第1審裁判所ではなく控訴裁判所に提出した場合については、「控訴状の提出先を間違えたとき」で説明しています。

 戦後すぐの時期の事件ですが、松山地裁大洲支部で第1審敗訴した当事者(被告)が、本来は高松高裁に控訴すべきところを誤って広島高裁に控訴し、広島高裁が高松高裁に移送せずに第1審の松山地裁大洲支部に回送し、その後高松高裁が控訴期間経過後の控訴として却下し、控訴人が上告した事案で、最高裁1950年11月17日第二小法廷判決は、「広島高等裁判所は本件を高松高等裁判所に移送すべきものであるにかゝわらず移送の裁判を為さず前記控訴状を松山地方裁判所大洲支部に廻送したことは違法であつて、それがためにその後の訴訟手続の全部を違法ならしめたものでめり、従つて右違法の手続に基いて為された原判決も亦違法として破毀を免れないものと云わなければならない。」として、原判決を破棄し、高松高裁に移送しました。
※現在の感覚では、松山地裁の事件で控訴裁判所を広島高裁と間違えることはとてもありそうもないように見えますが、戦後すぐの時期、1945年から1947年には高松高裁がなく、第1審が松山地裁の事件の控訴裁判所が広島高裁だったのです。そういう背景があるので、もし現在同じことをした場合にも同じ扱いをしてくれるかはわかりませんが。
※控訴状を無関係の裁判所に控訴期間内に提出したケースで、控訴状の提出を受けた裁判所が移送決定をしたにもかかわらず控訴期間徒過を理由として控訴が却下されたのに対し、(控訴状の提出を受けた裁判所の書記官が控訴期間を徒過しないように立件して移送するのが通常である等の説明をしていたということがあって控訴期間を徒過したのが控訴人らの責めに帰することができない事情であるという主張については検討する必要があるので原決定を取り消すが)無関係の裁判所への控訴状提出は民訴法286条1項違反でありその違法を安易に救済することは同規定の趣旨を没却することになるので控訴は違法とした東京高裁2023年7月18日決定に対する許可抗告を「所論の点に関する原審の判断は、是認することができる」として棄却した最高裁2024年3月28日第一小法廷決定(判例時報2369号10~11ページ【4】)の最高裁調査官による解説で、上記最高裁1950年11月17日判決は「改正前の民訴法において控訴裁判所も控訴状の提出先とされており、当事者にとって控訴裁判所が一義的に明らかとはいえない事情があった事案に関するものである。」とされています(同11ページ)。

 管轄についてはモバイル新館のもばいる 「どの裁判所に訴えるか」でも説明しています。

 控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
  

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