◆短くわかる民事裁判◆
抗告許可申立て理由書
許可抗告(抗告許可申立て)をすると、ほどなく高裁の担当部から抗告許可申立て通知書が、特別送達で送られてきます。この抗告許可申立て通知書に、事件番号(高裁での事件記録符号(ラ許)の事件番号)と担当係、担当書記官名が記載されています(担当部や係は原決定をした部・係なので最初からわかってはいますが)。
抗告許可申立て理由書は、高裁の担当部から抗告許可申立て通知書が届いた日の翌日から数えて14日以内(受け取った日の翌々週の同じ曜日。期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合は次の平日まで)に、担当部に提出する必要があります(民事訴訟規則第210条)。
提出部数は正本1通と相手方の人数に6を加えた数の副本です(民事訴訟規則第209条、第195条)。
ファクシミリでの送信での提出はできません(民事訴訟規則第3条第1項第5号:上告理由書、上告受理申立て理由書その他これらに準ずる理由書になります。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)10ページ)。裁判所に持参するか郵送する必要があります。
提出期限に遅れた場合、上告理由書、上告受理申立て理由書の場合は、民事訴訟法が「原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。」と定めています(民事訴訟法第316条第1項)が、抗告許可申立て理由書については、その条文が引用されていません(民事訴訟法第337条第6項参照)。そのため、直ちに却下されないと思いますが、そもそも抗告許可申立てをしても高裁が積極的に抗告を許可しない限り、高裁止まりで終わる手続で、それを原決定をした裁判官たちが判断するのですから、もともと前向きのはずがない心証をさらに損ねていいことはないと考えるべきでしょう。
抗告許可申立ての理由は、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むことです(民事訴訟法第337条第2項)。これは、判決に対する上告受理申立ての理由と同じです。
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