◆短くわかる民事裁判◆
控訴審第1回口頭弁論期日の欠席
控訴審の第1回口頭弁論期日に当事者(控訴人・被控訴人)の一方が欠席した場合どうなるでしょうか。
民事訴訟法第158条は、「原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。」と定めています。第1審の第1回口頭弁論期日は、被告側の都合を聞かずに指定することもあって、被告側が欠席することが多いのですが、そのような場合に原告側が出席している限り、被告側提出の答弁書等の陳述を擬制して(被告が陳述したという扱いをして)訴訟を進めます。
この規定が、控訴審にも準用されるかということです。民事訴訟法第297条は「前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第269条の規定は、この限りでない。」としていますので、素直に読めば第158条も控訴審に準用されると思いますが、かつて大審院は準用されないと解していたようです。実質的に見ると控訴審の第1回口頭弁論期日は被控訴人側とも日程調整して決定されますので第1審の場合とは状況が違いますが。
最高裁1950年10月31日第三小法廷判決は、民事訴訟法第158条(当時の規定では第138条)は控訴審にも適用されるものと解すべきとし、控訴審第1回口頭弁論期日に控訴人が欠席して被控訴人代理人が出席した場合に控訴状を陳述擬制して弁論を終結し判決を言い渡しても審理不尽その他の違法はないとしています。
したがって、控訴審第1回口頭弁論期日に、被控訴人が欠席した場合は、被控訴人が提出した答弁書等の陳述が擬制されることになりますし、控訴人が欠席した場合は、控訴状等(通常は控訴理由書も提出済と思われます)の陳述が擬制されることになります。
控訴人が欠席した場合、出席した被控訴人が弁論をせずに退席したらどうなるかについては「控訴審口頭弁論期日の双方欠席:控訴取下げ擬制」で説明しています。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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