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短くわかる民事裁判◆
控訴の趣旨:全部敗訴の場合
  控訴状の必要的記載事項は、当事者及び法定代理人、第1審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨です(民事訴訟法第286条第2項)ので、控訴の趣旨は法令上の必要的記載事項ではありませんが、控訴をする当事者(控訴人)が控訴裁判所に求める判決内容を判決主文の形で記載するのがふつうです。

 全部敗訴した判決に対する控訴の趣旨は、次のようにするのがふつうです。

 1審で全部敗訴した原告、例えば被告に対して500万円の支払いを請求して、請求棄却(せいきゅうききゃく)の判決(主文は、1.原告の請求を棄却する。2.訴訟費用は原告の負担とする。)を受けた原告が控訴する場合の控訴の趣旨は、ふつうは、「1.原判決を取り消す。2.被控訴人(ひこうそにん)は、控訴人に対し、金500万円を支払え。3.訴訟費用は、第1審、第2審を通じて被控訴人の負担とする。」です(遅延損害金とか仮執行宣言は省略)。
 控訴の場合、控訴に理由がある場合でも、原判決を「破棄(はき)」することはなく(「破棄」は上告の場合の用語です:民事訴訟法第325条、326条等)、取消、または変更することになっています(民事訴訟法第304条〜第309条等)。
 1審で全部敗訴した被告、例えば500万円の支払いを請求されて全部敗訴(請求を全部認容する)判決(主文は、1.被告は、原告に対し、金500万円を支払え。2.訴訟費用は被告の負担とする。)を受けた被告が控訴する場合の控訴の趣旨は、ふつうは、「1.原判決を取り消す。2.被控訴人の請求を棄却する。3.訴訟費用は、第1審、第2審を通じて被控訴人の負担とする。」です。

 一部敗訴の場合については「控訴の趣旨:一部敗訴の場合」で説明しています。

 控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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