◆短くわかる民事裁判◆
双方控訴の場合の当事者の表記
控訴事件での当事者の表記(肩書き・呼称)は、控訴した側が「控訴人」、その相手方(控訴された側)が「被控訴人」となります。
控訴人の相手方が、附帯控訴をした場合は、控訴人(附帯被控訴人)と被控訴人(附帯控訴人)と表記することが多く、「控訴人兼附帯被控訴人」、「被控訴人兼附帯控訴人」と表記することもあります。
さて、双方が控訴した場合はどうなるでしょうか。通常は、1審原告と1審被告(一審原告と一審被告)と表記されます(1999年度書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版101ページ)。
そして、法廷での着席場所も、傍聴席から見て左側(裁判官席から見て右側)に1審原告が、右側(裁判官席から見て左側)に1審被告が着席するのが通例です。
しかし、裁判所の考えによっては、先に控訴した方を控訴人兼被控訴人、後から控訴した方を被控訴人兼控訴人とし、法廷での着席場所も、1審で原告だったか被告だったかを問わず控訴人兼被控訴人を傍聴席から見て左側(裁判官席から見て右側)に、被控訴人兼控訴人を右側(裁判官席から見て左側)に着席させることもあります。先日東京高裁でそのように指示されて戸惑いました。
法廷での呼称は、まぁいいですが、書面を書くとき、「控訴人兼被控訴人」「被控訴人兼控訴人」と書いていると、読んでいてこんがらがりますし、書いていても度々間違えます。
裁判所どうするつもりかと思っていたら、判決書は、最初に「被控訴人兼控訴人(以下「一審原告」という。)」「控訴人兼被控訴人(以下「一審被告という。)と記載してその後はすべて「一審原告」「一審被告」でした。それなら最初から一審原告と一審被告にしておけばいいのにと思いました。
なお、当事者の表記・呼称をどうする場合でも、「控訴審での書証の提出」で説明しているように、控訴審で提出する書証は、第1審で原告だった側が甲号証、第1審で被告だった側が乙号証を第1審と続き番号で提出します。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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