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短くわかる民事裁判◆
控訴審での送達場所・送達受取人の届出
 民事裁判の当事者は(法定代理人、訴訟代理人も)裁判所からの書類の送達を受ける場所(送達場所)を裁判所に届け出なければならず(民事訴訟法第104条第1項前段)、送達場所の届出をする場合には自分とは別の者(送達受取人)が送達を受けることを届け出ることができます(民事訴訟法第104条第1項後段)。それらの届出をした場合、裁判所が送達する書類はすべてその送達場所に宛てて送達され、送達受取人を届けた場合はその受取人宛に送達されます。法令上送達を要する書類以外の書類も、そして裁判の相手方が裁判所に提出する書類の副本も同様に扱われます。
 この送達場所・送達受取人の届出は、原則として、原告側は訴状、被告側は答弁書に記載して行い(民事訴訟規則第41条第2項)、送達場所の届出は実務上訴状・答弁書の住所・事務所所在地(肩書地)に「(送達場所)」と付記する形で行うのが通例です。そうしなかった場合は、送達場所の届出書を別途作成して提出します。そのあたりは、「送達場所の届出」で説明しています。

 第1審で送達場所や送達受取人の届出をした場合、控訴審ではその届出の効力はどうなるでしょうか。
 1999年度裁判所書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版には「送達場所、送達受取人の届出は、全審級を通じて効力を有すると解されるから、改めて同一内容の届出をする必要はない。」と記載されています(58ページ)。特に明示した条項や判例があるわけではありませんが、書記官実務研究報告書がそう書いているのですから、裁判所の実務はそれで動いています。
 したがって、第1審と送達場所や送達受取人(届けた場合)を変更するのでなければ、控訴状や控訴答弁書に送達場所の届出を記載したり送達場所の届出書を提出する必要はないということになります。それでも、実際には、控訴状や控訴答弁書の当事者の表示の肩書地に「(送達場所)」と記載しますけどね。ただ一言付記するだけで手間もかかりませんし。
 他方で、変更の届出をしない限りは第1審での届出が有効と扱われますので、第1審で届け出たのとは違う扱いをしてほしいとき(違う場所に送達してほしいとか、送達受取人とした人ではなく自分に送達してほしいとか)は、変更届を提出する必要があります。控訴審で特に届出をしなければ、本来の場所である自宅に戻ったり、本人に戻るということにはなりませんので、注意する必要があります。

 控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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