◆短くわかる民事裁判◆
利息計算の方法:借入日の利息
貸金業者から借り入れたお金の利息を計算する際、借り入れた日から返済日までの日数(借り入れた日も、返済日もともにカウントに入れた日数:これを金融業界の用語で「両端入れ(りょうはいれ)」と呼んでいます)で計算すべきでしょうか。結論からいえば、借り入れた日か返済日の片方だけを入れた日数(金融業界では「片端入れ(かたはいれ)」と呼んでいます)で計算するのが通常です。
利息は借入初日から発生するという最高裁判例があり、貸金業者がこれを根拠に両端入れで計算した金額を請求してくることがあります。しかし、貸金業規制法が貸金業者に対して借入の利率を契約書等で明示することを求めていて、その計算方法が片端入れ(借入日を算入し返済日を算入しない)なので、貸金業者は契約書等に利息の計算方法として片端入れで定めているのがふつうです(そこが明確でない契約書もありますが、貸金業者としては貸金業法違反の定めをしているとは言えないので、裁判でうちの契約は両端入れだとは主張しないはずです)。利息制限法のような強行規定(それに反する約束が無効になる)があるわけではありませんが、契約上の利息計算方法が片端入れである以上、裁判上の請求もそれに従ってするしかありません。そういった事情から、貸金業者からの借入の利息計算は、片端入れ計算(これを初日を算入しないと言ってもいいですし、返済日を算入しないと言ってもいいですが)でいいということになるのです。
借入日の利息問題については「初日を算入しなくていい理由」でも説明しています。
モバイル新館の「利息制限法の基礎知識」でも説明しています。
**_****_**