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短くわかる民事裁判◆
利息計算の方法:閏年の扱い
 貸金業者の契約書(金銭消費貸借基本契約書:きんせんしょうひたいしゃくきほんけいやくしょ)で、利息計算は(閏年も)1年365日で計算するとされていることがよくあります。このような条項自体は、直ちに無効とは言えません。
 しかし、契約書で定められた約定利率(やくじょうりりつ)が利息制限法の制限利率を超えている場合は、利息制限法引き直し計算では、契約条項がそのように書かれていても、閏年(うるう年)は366日計算します。そうしないと、実質的な制限利率が利息制限法の規定を超えてしまうからです。具体的にいえば、閏年について、利息を借入残高×0.18×経過日数/365日で計算すると、実質的には年18.049%で利息計算していることになります。そうなると実質利率が利息制限法の制限利率を超えますから、これは違法な計算です。
 貸金業者が裁判所に提出する利息制限法引き直し計算書で、こっそりと利息制限法の制限利率を超えた閏年計算がなされていることもあります。

 とりまとめると、1年365日計算しても利息制限法の制限利率を超えない場合(言い換えると、約定利率が、元本10万円未満で1年19.94%以下、元本10万円以上100万円未満で1年17.95%以下、元本100万円以上で1年14.95%以下)、閏年も1年365日で計算するという条項は有効で、その計算ができます。しかし、約定利率がその水準を超える場合は、契約書上1年365日で計算するとされていても、閏年については1年366日で計算した利息制限法引き直し計算による利息を超えることはできませんので、1年366日で利息制限法の制限利率で計算した利息額が優先されます。

 閏年の扱いについては「閏年計算の憂鬱」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「利息制限法の基礎知識」でも説明しています。
  

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