◆短くわかる民事裁判◆
除斥・忌避申立ての効果:訴訟手続の停止
裁判官の除斥の申立てや忌避の申立がなされた場合、その申立てについての決定が確定するまで、訴訟手続は停止されます(民事訴訟法第26条本文)。
例外として、「急速を要する行為」は行うことができます(民事訴訟法第26条但し書き)。
急速を要する行為の例としては、証拠保全や執行停止の裁判などが挙げられますが、判決の言い渡しは急速を要する行為ではなく、忌避を申し立てられた裁判官が申立てに対する決定が確定する前に判決を言い渡すことは違法です(最高裁1954年10月26日第三小法廷判決:「原判決はその為された時においては所論の理由により違法であつたものといわなければならない」と判示しています)。ただし、忌避を申し立てられた裁判官が申立てに対する決定が確定する前にした急速を要しない行為も、その後、忌避申立てに理由がないという決定が出されて確定すると有効になるとされています(上記最高裁1954年10月26日第三小法廷判決)。
元の事件(基本事件)の裁判が忌避申立てに対する決定の確定まで停止することから、実務上は、忌避申立てに対する決定をした部(元の事件とは別の部)や、その決定に対する即時抗告について決定をした高裁の部から、決定後、基本事件の担当部の書記官に、電話や「通知書」で、決定をしたこと、決定に対して申立人から抗告等があったかを連絡しています。
民事裁判の手続全般については「民事裁判の審理」でも説明しています。
民事裁判の登場人物についてはモバイル新館の 「民事裁判の登場人物」でも説明しています。
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