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    ◆民事裁判の話(民事訴訟の話)庶民の弁護士 伊東良徳のサイト モバイル新館

  民事裁判の審理

もくじ:index
 民事裁判はどのように進められますか GO
 第1回口頭弁論の実情 GO
 主張・証拠書類提出の段階 GO
 証人尋問の段階 GO
 
弁論の終結(結審) GO
   
 ここでは、主として地方裁判所での1審の事件の審理・展開を頭に置いて民事裁判の手続・流れを説明しています。
 簡易裁判所での民事裁判の審理の様子については「簡易裁判所での民事裁判の審理」を見てください。

  民事裁判はどのように進められますか

 法廷で行われる民事裁判の期日は「口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)」と呼ばれています。
   民事裁判の法廷(裁判を見に行くとこんな感じ)は「民事裁判の法廷の様子」を見てください
 口頭弁論期日では、主張を口頭(こうとう)で、つまり言葉でしゃべって述べるという建前ですが、実際には期日の前に提出した書類の提出を確認するだけということがほとんどです。法廷では「陳述(ちんじゅつ)します」と言うことで提出してあった書類の内容をすべて口頭で陳述したことにするのです。

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  第1回口頭弁論の実情

 ですから大抵の民事事件の第1回口頭弁論は、
 裁判所「原告は訴状の通り陳述しますね」
 原告側「はい」
 裁判所「被告は答弁書の通り陳述しますね」
 被告側「はい」
 裁判所「では、次回は〇〇ですね(被告の答弁書が具体的でなければ「被告の主張」、具体的に書かれていれば「原告の反論」)」
という程度のやりとりで次回期日を決めて終わりです。

 それも第1回は被告側が出席しないことも多く、その場合被告の答弁書は陳述したことにすることになります(「擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)」と呼んでいます。その場合の法廷での裁判官の言い回しは、従来は「答弁書擬制陳述」が多かったのですが、最近は「答弁書の陳述を擬制」か「答弁書陳述擬制」が多くなっているように思えます)。第1回口頭弁論期日は、被告の都合を聞かずに日を決めるので、被告は欠席でもかまわないことになっています。
 ただし、被告が答弁書を提出せずに欠席すると、原告の言い分をすべて認めたものとみなされ、欠席判決をすることも可能です(詳しくは「裁判所の呼出を無視すると」を見てください)。

※現在は、双方に弁護士が付いている事件では、最初の訴状陳述等を行う期日も弁論準備期日として法廷外で行うとかWeb会議(裁判所では、マイクロソフトのチームズ:Teams が利用されます)で行う、その後の主張段階も弁論準備期日として行うというケースが多くなっています(その場合、証人尋問期日が第1回口頭弁論になります)。

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  主張・証拠書類提出の段階

 民事裁判は、前半は原告と被告が事実関係やそれを元にした法律論を書面でやりとりし証拠書類を提出します。原告や被告の主張を書いた書面は「準備書面(じゅんびしょめん)」と呼ばれます。
 準備書面や証拠書類を提出する段階では、期日はほんの数分で終わります。
 この段階は、簡単な事件では1、2回、双方に弁護士が付いて争う事件で5、6回程度ということが多いのですが、複雑な事件になると十数回とか、まれには数十回の期日を要することもあります。

 この段階では、法廷ではなく普通の部屋で、争点を整理したり今後の進め方を協議したり、事実上話し合いで解決する考えがあるのかを確認したりするために「弁論準備期日(べんろんじゅんびきじつ)」が開かれることがあり、近年は、傍聴人が多数詰めかけるような事件や本人訴訟以外では、弁論準備期日として法廷外で行ったり、Web会議で行うのが通常となっています。
 期日に行う内容は、弁論準備でも、法廷での口頭弁論とあまり変わらない場合もありますが、法廷よりもざっくばらんに話しやすいということから裁判官がより積極的に発言し、突っ込んだやりとりをすることもわりとあります。
 弁論準備期日で裁判官と弁護士がどんなやりとりをしているかについては、モバイル新館で公開している小説「その解雇、無効です!3」でかなりリアルに再現していますので、そのイメージを掴みたい方はそちらをお読みください(部下へのセクハラ、上司への暴言等を理由に解雇された梅野さんの裁判の第2回期日から第7回期日として第5章から第10章で裁判官と原告側・被告側弁護士のやりとりが登場します)。
 「その解雇、無効です!3 ラブコメでわかる解雇事件」はこちらから→その解雇、無効です!3 ラブコメでわかる解雇事件

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  証人尋問の段階

 双方の主張が大方尽きると次は証人尋問(しょうにんじんもん)の段階になります。
 裁判所は証人の数をできるだけ減らし、尋問の時間もできるだけ短くしたいと考えがちです。簡単な事件では証拠書類だけで尋問はなしとか、原告・被告の本人だけ尋問して終わりということが多いのです。
 証人を請求した側が行う尋問を「主尋問(しゅじんもん)」、相手方が行う尋問を「反対尋問(はんたいじんもん)」といいます。原告側が請求した証人については原告側が主尋問、被告側が反対尋問を行います(詳しくは「反対尋問」を見てください)。反対尋問が終わったあとに証人を請求した側がさらに希望した場合には「再主尋問(さいしゅじんもん)」が行われます。これは自分が申請した証人が相手方の反対尋問で崩されてしまったときに、それをリカバーする目的で行われるのがふつうです。そう多くはないですが、再主尋問のあとに相手方がさらに希望して「再反対尋問(さいはんたいじんもん)」が行われることもあります(以下、さらに強く希望があれば、「再々主尋問(さいさいしゅじんもん)」「再々反対尋問(さいさいはんたいじんもん)」…)。当事者の尋問が終わったところで、裁判官が質問することがあり、それは「補充尋問(ほじゅうじんもん)」と呼ばれます。裁判官の補充尋問のあとに当事者が追加の質問をすることも、時折あります。
 近年では証人を請求した側は事前にその証人の証言する内容を陳述書(ちんじゅつしょ)にして提出し、主尋問は、陳述書に出ているのだからごく短くするようにとか、主尋問は省略することを求められることが増えています。

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  弁論の終結(結審)

 証人尋問も終わると、簡単な事件ではそのまま審理を終わらせ、複雑な事件では双方が「最終準備書面」を提出して審理を終わります。民事裁判の審理を終えることを「弁論の終結(べんろんのしゅうけつ)」とか「結審(けっしん)」といいます。
 審理が終わると次の期日に判決となります。

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