◆短くわかる民事裁判◆
再抗告期間
民事訴訟法上、再抗告の申立て期間については明確な規定はありません。
即時抗告については決定の告知を受けた日から1週間(民事訴訟法第332条)、特別抗告は裁判の告知を受けた日から5日(民事訴訟法第336条第2項)、抗告許可申立ては特別抗告の規定を準用(民事訴訟法第337条第6項、第336条第2項)と、抗告期間の定めがあり、そのような規定がない通常抗告(民事訴訟法第328条)は申立て期間の限定がなく抗告の利益がある間は申立て可能と解されています。
そうすると、通常抗告と同様に期間を定める規定がない再抗告も、申立て期間の定めはないように見えます。
しかし、最高裁は、「再抗告の申立て期間については、再抗告の対象となる決定の内容が即時抗告又は通常抗告のいずれの抗告によるべき性質のものであるかにより、即時抗告期間内に申し立てなければならないか否かが定まるものと解するのが相当である。」としています(最高裁2004年9月17日第三小法廷決定)。この最高裁決定もちょっとわかりにくいのですが、再抗告の対象となる決定、つまり最初の抗告に対する決定が、もしその決定が(抗告に対する決定ではなく)最初の決定だったらそれに対する抗告が即時抗告か通常抗告かを検討して、その場合に即時抗告によるべきときは、再抗告は、即時抗告同様、決定の告知を受けた日から1週間以内にしなければならない(他方、それが通常抗告によるべきときは、特に期間制限はない)ということです。
※この最高裁決定では最初の決定が再審却下決定、最初の抗告(即時抗告)に対する決定は原決定を取り消して再審請求を棄却したところで行われた再抗告について、抗告審の再審請求を棄却する決定がもし最初の決定だったらそれに対する不服申立ては即時抗告によるべきだからというロジックで、再抗告の対象となる決定の内容が即時抗告によるべきものとし、再抗告は即時抗告期間内に申し立てるべきとしています。(再審請求を却下する決定も、棄却する決定も、さらに言えば再審開始決定も、それに対する不服申立てはいずれも即時抗告なんですけどね:民事訴訟法第347条)。
最初の抗告に対する抗告審の決定が、抗告を不適法として却下した場合と理由がないとして棄却した場合は、最初の抗告が通常抗告なら再抗告も通常抗告、最初の抗告が即時抗告なら再抗告も即時抗告と扱われます。
問題は、最初の抗告が認容されたときで、その結果に応じて、再抗告の性質が最初の抗告と異なったり、そもそも再抗告ができなくなったりします。よく挙げられる例では、担保取消決定の申立てを却下した決定に対する不服申立ては通常抗告と解されています(そのことは「民事訴訟手続中の決定等に対する通常抗告」で説明しています)ので抗告期間の制限は特にありませんが、その通常抗告が認容されて担保取消が認められると、それに対する不服申立ては即時抗告(民事訴訟法第79条第4項)なので、再抗告は即時抗告期間内に申し立てなければなりません。証拠保全手続の申立てを却下した決定に対する不服申立ても通常抗告と解されていますが、通常抗告が認容されて証拠保全決定が出されると、これに対しては不服申立てができません(民事訴訟法第238条)ので、再抗告はできません。
再抗告期間については、判断が難しい点がありますので、安全のため、即時抗告期間内に申し立てるべきとされても大丈夫なように、抗告裁判所の決定の告知を受けた日から1週間以内に行うようにし、できれば提出を遅らせたいというときは、抗告審決定をした裁判所(地裁の担当部)の書記官にこの決定に対する再抗告期間を聞いてみるということにした方がいいかと思います。
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