◆短くわかる民事裁判◆
再抗告理由書
再抗告をすると、ほどなく地裁の担当部から再抗告提起通知書が、特別送達で送られてきます(民事訴訟規則第205条、第189条第1項)。この再抗告提起通知書に、事件番号(地裁での事件記録符号(ソラ)の事件番号)と担当係、担当書記官名が記載されています(担当部や係は原決定をした部・係なので最初からわかってはいますが)。
再抗告理由書は、地裁の担当部から再抗告提起通知書が届いた日の翌日から数えて14日以内(受け取った日の翌々週の同じ曜日。期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合は次の平日まで)に、原裁判所(地裁)の担当部に提出する必要があります(民事訴訟法第331条但し書き、第315条、民事訴訟規則第210条)。提出部数は正本1通と相手方の人数に4を加えた数の副本です(民事訴訟規則第205条、195条。2000年度裁判所書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版327ページ)。ファクシミリでの送信での提出はできません(民事訴訟規則第3条第1項第5号:上告理由書、上告受理申立て理由書その他これらに準ずる理由書になります。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)10ページ)。裁判所に持参するか郵送する必要があります。
再抗告理由書は、原裁判所(地裁)に事件記録があるうちに提出しますので、(ソラ)の事件番号で書きます。
提出期限に遅れた場合、再抗告については、民事訴訟法上、上告審の訴訟手続に関する規定を準用すると定められています(民事訴訟法第331条但し書き)ので、提出期間内に上告理由書、上告受理申立て理由書を提出しなかったときは「原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。」と定める規定(民事訴訟法第316条第1項)も準用されていると考えられています。そのため、原決定をした地裁が高裁に記録を送ることなく再抗告を却下することになると考えられます。
再抗告の理由は、原決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること、または決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることです(民事訴訟法第330条)。これは、地裁の控訴審判決に対する高裁への上告の場合の上告理由(民事訴訟法第312条)と概ね同じです。
**_****_**