◆短くわかる民事裁判◆
誰に対し再審請求できるか:再審請求の被告適格
再審の訴え(再審請求)の被告とすることができるのは、原則として再審請求の対象となる確定判決の敗訴当事者の相手方(勝訴当事者)ですが、その当事者の一般承継人(相続人等)や裁判の対象となる権利義務等を引き継いだ特定承継人(対象物の譲受人、対象債権の譲受人等)も、再審被告とすることができます(福岡高裁1957年12月26日判決)。
確定判決の口頭弁論終結後の特定承継人を再審被告とするときの再審の訴え提起の方法として、上記の福岡高裁判決では、原則的な再審被告である確定判決の相手方(ないしその一般承継人)に加えて、特定承継人をも被告として訴え提起したことを、「当事者を誤っている違法はないといわなけれbならない。」としています。
岐阜地裁2002年9月26日判決(判例時報1139号289ページ)は、信用金庫が(後日精神分裂病と診断された訴訟能力がない)連帯保証人を被告として欠席判決で勝訴した確定判決に対して、連帯保証人の後見人が、判決確定後に信用金庫に代位弁済した信用保証協会(口頭弁論終結後の特定承継人)を再審被告として再審請求し、その後確定判決の相手方であった信用金庫を再審被告として再審請求した事件で、両請求を併合審理して再審決定し、両事件を併合して再審本案の判決(確定判決取消、信用金庫の請求棄却、訴訟費用は全部信用金庫の負担)を言い渡しています。この判決の立場でも、確定判決の相手方と特定承継人双方をともに被告とすることが可能ということになります
学説上は、確定判決の相手方当事者を再審被告として訴え提起をした上で、特定承継人に対して訴訟引受の申立て(民事訴訟法第50条第1項)をするという方法も提案されています(コンメンタール民事訴訟法Z56〜57ページ)。
私は経験がないのでそこはよくわからず、実際に提起することになったら、いろいろ検討する必要があるという認識に止まっています。
再審の訴えの原告適格については、「誰が再審請求をできるか:再審請求の原告適格」で説明しています。
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再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「再審請求」でも説明しています。
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