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短くわかる民事裁判◆
誰が再審請求をできるか:再審請求の原告適格
 再審の訴え(再審請求)をすることができるのは、原則として再審請求の対象となる確定判決の敗訴当事者ですが、その当事者の一般承継人(相続人等)や裁判の対象となる権利義務等を引き継いだ特定承継人(対象物の譲受人、対象債権の譲受人等)は、再審原告となることができます(最高裁1971年6月3日第一小法廷判決)。その反面として、確定判決の当事者であってもその後その権利等を他人に譲り渡して再審請求時にはその権利等の主体でなくなっている者は再審請求をすることはできないと解されています。
 承継人が再審請求をする場合の手続については、判例上必ずしも明確にされておらず、議論があります。一般承継人(相続人等)の場合は再審請求とともに受継の申立て(民事訴訟法第124条)を行い、特定承継人の場合は再審請求とともに独立当事者参加の申立て(民事訴訟法第47条、第49条)を行うべきものとするもの(コンメンタール民事訴訟法Z56〜57ページ)、特定承継人は再審請求とともに補助参加の申立て(民事訴訟法第43条)を行い原判決取消を条件として参加承継(民事訴訟法第49条)できるとするもの、一般承継も特定承継も無条件にできるとするものがあるようです(新・コンメンタール民事訴訟法[第2版]1134ページ)。特定承継人のケースではない判決に第三者に対する効力がある場合の第三者の再審請求のケースで最高裁が独立当事者参加を前提にしていること、その場合参加人(再審請求原告)が確定判決の当事者に対する請求を立てる必要があるとされていること(それについては「再審請求の原告適格:会社の組織に関する訴え認容判決」で詳しく説明しています)から特定承継人のケースを議論している状態で、私は経験がないのでそこはよくわからず、実際に提起することになったら、いろいろ検討する必要があるという認識に止まっています。

 判決に第三者に対する効力がある場合、例えば人事訴訟や会社の組織に関する訴訟や行政訴訟での判決に対して、その判決の効力が及ぶ第三者が再審請求をできるか(再審の訴えを提起できるか)については、別のページで説明します。
 子の認知を認める確定判決に対する父の相続人(他の子等)の再審請求→「再審請求の原告適格:認知判決に対する父の相続人」
 会社の組織に関する訴えを認める確定判決に対する株主等の再審請求→「再審請求の原告適格:会社の組織に関する訴え認容判決」
 行政処分を取り消す確定判決に対する取消により権利を害される者の再審請求

 再審の訴えの被告適格については、「誰に対し再審請求できるか:再審請求の被告適格」で説明しています。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

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