◆短くわかる民事裁判◆
即時抗告期間
即時抗告は、即時抗告の対象となる決定や命令の告知を受けた日から1週間(告知を受けた日の翌日から数えて1週間:結局告知を受けた日の翌週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日までの年末年始期間の場合、次の平日まで)以内に行う必要があります。
即時抗告の対象となる決定や命令は、判決とは異なり(判決は判決書の送達が必要:民事訴訟法第255条)、「相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。」とされています(民事訴訟法第119条)。実際には、即時抗告の対象となりそうな決定等は特別送達されることが多いですが、法令上は特別送達をしなければならないわけではないのです。裁判所の判断で、簡易書留とか普通郵便で決定が送られてくるということもあり得ます。また、法廷等で口頭でなされた場合(法廷で口頭でした忌避申立てに対して裁判所が簡易却下するときなどが考えられます)は、その場で口頭で告知されたと扱われることになると考えられます。
決定等が特別送達された場合は、裁判所が決定等の送達日を送達報告書で確認できますが、簡易書留や普通郵便の場合、さらには口頭でなされた場合などには、決定の告知を受けた日について、裁判所と決定を受けた者(即時抗告人)の認識がずれてしまうこともあり得ます。
そのようなリスクがあるので、即時抗告をしたい場合は、対象となる決定を受け取ったり、聞いたりしたら早期に裁判所の担当部の書記官に電話して、即時抗告の期限について確認した方がいいと、私は思います。
抗告状はファクシミリでは提出できません(民事訴訟規則第3条第1項第1号:民事訴訟費用法の規定により手数料を納付しなければならない申立てに係る書面になるので。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)9ページ)。
したがって、原裁判所の民事受付に持参して提出するか、郵送する必要があります。郵送の場合、昨今の郵便事情を考えれば、普通郵便は避けるべきでしょう。遠方であれば、相当程度の余裕を持って、レターパックなどの郵便追跡サービスのある郵便で、配達状況を確認し、もし事故等がありそうなら(追跡で間に合わなそうだったら)最終期限当日には持参も可能にしておくというのが確実な方法だと思います(私ならそうします)。
なお、決定の告知を受ける前に申し立てた即時抗告は違法で、申立て後にそれに見合う決定があった場合でも適法にはならないとされています(最高裁1957年9月26日第一小法廷決定)。
※即時抗告期間は、民事訴訟法上の即時抗告は1週間(民事訴訟法第332条)ですが、家事審判に対する即時抗告、非訟事件の終局決定に対する即時抗告は2週間です(家事事件手続法第86条、非訟事件手続法第67条)。ただし、家事事件でも家事審判以外の裁判に対する即時抗告、非訟事件でも終局決定以外の裁判に対する即時抗告は1週間です(家事事件手続法第101条、非訟事件手続法第81条)。取り違えないように注意する必要があります。
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