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短くわかる民事裁判◆
送達場所・送達受取人の届出と入力依頼:電子申立て・システム送達の場合
 2026年5月21日以降に提起する訴訟は、裁判所のシステムを利用して電子申立てをすることができ、裁判所からの文書の送達や相手方が提出する文書の受け取りを裁判所のシステムを通じて行うことができます。この電子申立てやシステム送達は、弁護士には(簡易裁判所で代理を認められた認定司法書士にも)義務づけられますが、本人訴訟をする当事者には義務づけられません。本人訴訟をする当事者は、電子申立てやシステム送達を選択せずに、従来通りの紙の書類と郵送等による送達での手続を行うことができます。したがって、自らネット利用をすることが困難な人は、弁護士等に依頼せずに本人訴訟をする場合は、従来の紙の書類と郵送等による手続を選択すれば、問題なく訴訟を行うことができるのです。

 しかし、裁判所は、自らネット利用をすることが困難な当事者が、第三者(サポータ)に電子申立ての手続(情報入力)やシステム送達による裁判書類の受け取り、裁判書類の提出等を代行してもらう手段を用意しています。
 裁判所が公開している「事実行為の委任状・システム送達を受ける旨の届出・システム送達受取人の届出・送達場所等の届出・入力依頼書面」の書式と記入例はこちら 
 裁判所の書式の記入例からして、地裁では代理業務ができない司法書士(認定司法書士が代理業務をできるのは簡裁だけ)が事実上地裁で書面作成・提出・受領の代行をすることを想定しているようです。しかし、書類の受け取りと提出ができても、自らネット利用をすることが困難な人は裁判期日をWeb会議(Teams)で行うことは技術的に難しいでしょうし、技術的にできても司法書士が立ち会わないで期日に臨むのも困難でしょう(現在、地裁で司法書士に事実上書面を書いてもらっている人は、裁判期日には司法書士に傍聴席で見ていてもらっていると思います)。裁判期日はWeb会議にしないで法廷で行うのであれば、書面の提出・受け取りだけシステム送達で行うことにどれだけの意味があるのか疑問です。
 しかも、紙ベースの手続で司法書士に書類作成を依頼する場合は、提出には当事者本人の押印が必要なので、本人は提出する書類を確認する機会が確保されますが、裁判所のシステムでの入力の依頼は、依頼書にはなんという書面の入力を依頼するかしか記載されず、実際の入力内容を確認できるかは疑問です。当事者本人が自らネット利用が困難であれば、直接確認できません。
 それらの点で、この制度は、自らネット利用をすることが困難な当事者本人にとって、現状より有利なものとは、私には思えません。従来通りの紙ベースの手続が選択できるのですから、そちらの方がいいんじゃないかと、私は思います。

 訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴えの提起(民事裁判の始まり)」でも説明しています。
  

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