◆短くわかる民事裁判◆
答弁書の提出:直送
答弁書及び同時に提出する証拠説明書、書証(乙号証)は、裁判所に正本を提出するとともに、原告(原告に代理人がついているときは原告代理人)に副本を直送(ちょくそう)することが原則になっています(民事訴訟規則第83条)。訴状の場合は、必ず原告から提出を受けた訴状副本等(訴状と同時に提出された証拠説明書、書証(甲号証))を裁判所が被告に送達します(原告が被告に直送することは想定されていません)が、その後の答弁書や準備書面、書証等は、直送が原則です。直送は、手渡し、郵送、ファクシミリ送信のいずれかで行います(民事訴訟規則第47条第1項。裁判所への提出も同じです:民事訴訟規則第3条)。通常は、下の方にこの書類を受領したという記載をして署名欄を設けた送付書/送信状をつけて直送し、受け取った側は(送付状/送信書下側の)受領書の署名欄に署名ないし記名押印して裁判所と相手方にファクシミリ送信するのが約束事になっています(民事訴訟規則第47条第5項)。
相手方との間で、受領していないなどと言われるトラブルが予想されるような場合など直送を困難とする事情があるときは、正本と副本を裁判所に提出して裁判所から副本を送ってもらうこともできます(民事訴訟規則第47条第4項。このように、原則は直送で、裁判所からの送付は例外と位置づけられています)。
ただし、相手方への送達を要する書類(訴状一部訂正申立書、訴えの変更申立書など)などは、直送ではなく、裁判所からの送達となります(民事訴訟規則第3条)。
答弁書や準備書面は「相手方が準備をするのに必要な期間をおいて」提出することとされています(民事訴訟規則第79条第1項)。実務上は、期日(口頭弁論期日、弁論準備期日等)の1週間前に提出するということが想定されています。今どきは裁判所がその都度提出期限を定めることが多く(民事訴訟法第162条)、その場合たいていは期日の1週間前と定められ、ときどき裁判所がよく検討したい事項の場合はそれより前の提出期限が定められます。
ただし、この裁判所が定めた提出期限は、今のところ、それを守らない場合でも特段の制裁や不利益扱い等はなく、実際、守らない弁護士も少なくありません。
訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
モバイル新館の 「第1回口頭弁論まで」でも説明しています。
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