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短くわかる民事裁判◆
特別抗告理由書
 特別抗告をすると、ほどなく原決定をした裁判所(原裁判所)の担当部から特別抗告提起通知書が、特別送達で送られてきます(民事訴訟規則第208条、189条)。この特別抗告提起通知書に、事件番号(原裁判所が高裁ならば事件記録符号(ラク)の事件番号、地裁ならば(ソラ)の事件番号、簡裁ならば(ハソ)の事件番号)と担当係、担当書記官名が記載されています(担当部や係は原決定をした部・係なので最初からわかってはいますが)。
 特別抗告理由書は、原裁判所の担当部から特別抗告提起通知書が届いた日の翌日から数えて14日以内(受け取った日の翌々週の同じ曜日。期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合は次の平日まで)に、原裁判所の担当部に提出する必要があります(民事訴訟規則第207条、208条、189条、194条)。特別抗告理由書は、原裁判所に事件記録があるうちに(最高裁の事件番号がつく前に)提出しますので、特別抗告提起通知書に記載されている原審での事件番号で書きます。
 提出部数は正本1通と相手方の人数に6を加えた数の副本です(民事訴訟規則第208条、195条)。
 ファクシミリでの送信での提出はできません(民事訴訟規則第3条第1項第5号:上告理由書、上告受理申立て理由書その他これらに準ずる理由書になります。1997年度書記官実務研究報告書「新民事訴訟法における書記官事務の研究(U)10ページ)。裁判所に持参するか郵送する必要があります。
 提出期限に遅れた場合、特別抗告については、民事訴訟法上、その性質に反しない限り、特別上告の上告審の訴訟手続に関する規定を準用すると定められていますので、提出期間内に上告理由書、上告受理申立て理由書を提出しなかったときは「原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。」と定める規定(民事訴訟法第316条第1項)も準用されていると考えられています。そのため、原裁判所が最高裁に記録を送ることなく特別抗告を却下することになります。

 特別抗告の理由は、原決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることです(民事訴訟法第336条第1項)。これは、判決に対する上告(上告の場合、他にも上告理由とできることがいくつかあります)や、1審が簡易裁判所の事件で高裁が上告審の判決をした場合の特別上告の理由と同じです。

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