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短くわかる民事裁判◆
特別送達
 訴状副本期日呼出状判決正本等を郵送する際、裁判所は特別送達という形で行います。
 特別送達は、郵便配達人(通常の配達人)が配達を行い、郵便物を手渡して、その相手から送達報告書の「受領者の押印または署名」欄に署名または押印を受け、送達報告書に送達の場所、送達日時と、送達方法として「受送達者本人に渡した」のか、本人に出会わなかったので「使用者・従業者」「同居者」に渡したのか、それらの者が「正当な理由なく受取りを拒んだのでその場に差し置いた」のか等を記載して、郵便配達人が報告書の「上記のとおり送達しました。」という記載がある欄に作成日と所属部署を記載して署名押印し、それを郵便認証司という資格(国家資格ではありますが、実際上は日本郵便の推薦に基づいて総務大臣が任命)を有する者が「上記送達に係る郵便物が適正に送達されたこと及びその送達に関する事項が適正に記載されていることを確認しました。」という記載がある欄に確認日と所属部署を記載して署名押印して送達報告書を完成させて、差出人(裁判所)に書留で返送するものです。
 裁判所にとってのポイントは、郵送した書類が、有効に名宛て人に送達されたこと、その送達がいつどこで誰に対して行われたのかを、国家資格がある者が保証してくれ、その結果、あとは送達が有効になされたという前提で手続を進められることにあります。

 特別送達は、受取人側では、実質は書留郵便やレターパックプラスと大差ありません。受け取り時に署名または押印を求められるのが「送達報告書」という書類である点がわずかに違うだけです。
 配達時に不在の場合の処理も書留郵便やレターパックプラスと同じで、使用される不在連絡票も同じです。不在連絡票の記載上、差出人が裁判所であることと、郵便物の種類のチェック欄の「特別送達」にチェックがされている点で、裁判所からの特別送達だとわかるくらいです(それ以外の違いはありません)。不在連絡票の記載に応じて再配達依頼か郵便局窓口での受け取りができます。郵便局窓口の場合、書留郵便等の受け取りと同様、不在連絡票と本人確認資料が必要になります。

 配達時に不在で再配達依頼も窓口での受け取りもないときは、配達後1週間経過した時点で(その時点でもう一度配達を試みるようですが)、保管期間満了の報告書とともに裁判所に戻されます。
 また郵送先に名宛て人が居住していないと郵便配達人(日本郵便)が判断した場合は、宛所に尋ねあたらずの報告書とともに裁判所に戻されます。
 名宛て人が転居していて転居先を日本郵便が把握しているとき(郵便物転送届けが出ているとき)は、日本郵便の方で転居先に配達をして、その内容で送達報告書を作成して裁判所に提出します。それで転居の事実がわかるということがあります(この点は、特別送達だからそうだということではなくて、配達証明郵便の場合でも同様にその管轄郵便局が配達証明書を作成して返送してくるので転居がわかるということがあります。配達証明の場合、配達先住所の記載はないので、住所は別途住民票を取らないとわかりませんが)。

 訴状の送達については「裁判所の呼出を無視すると」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴状が届かないとき」でも説明しています。
  

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