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短くわかる民事裁判◆
和解期日と和解の進行
 和解の協議は、通常、法廷ではなく、書記官室のエリアの小部屋で行われるか、Web会議(現時点では、双方に弁護士が代理人として付いているときのみ、マイクロソフトのTeamsを利用して行われます)を用いて行われます。和解が行われる部屋は、裁判所の部屋の通例で窓がない部屋で、テーブルと椅子が置かれた会議室のかなり狭いものをイメージすればいいです。置かれているテーブルと椅子は応接セットの場合もあります。
 和解の席では、裁判官も黒い法服ではなく通常の服装(スーツや「クールビズ」スタイル)で登場します。通常は、原告側、被告側の片方だけが部屋に入れられ、相手方のいないところで和解についての意向(和解する気があるか、どういう内容なら和解する気があるか)を聞かれたり、裁判所の和解案を示されたりします。Web会議の場合は、双方がWeb会議なら一方と回線をつなぎ他方の回線を切って、一方が出席一方がWeb会議(一般的にはあまりないでしょうけど、私は原則出席主義なので、そういうこともよくあります)ならWeb会議側の当事者の話を聞くときは出席当事者が退室し出席側当事者の話を聞くときは回線を切ります。それが交互に行われ、和解がまとまりそうならば続けられ、とてもまとまりそうにないということになれば打ち切られます。

 和解案についてその場で決められないときは、持ち帰って検討するということになり、多くは和解期日が続行されます。裁判所は、和解ができそうなら和解で解決しようという考えを持つことが多いので、即答できなければ打ち切りという姿勢はあまりとりません。

 和解の協議時に、裁判所が積極的に和解案を出すか、当事者の意向を聞いて調整するにとどめるかは、裁判官の考え方や審理の段階によります。かつては裁判官は当事者に心証を示さないのが美徳とされていましたが、今どきは和解のときには心証を示すことが多いので、弁護士にとっては和解期日は裁判官の心証を把握するチャンスでもあります。人証調べ後の和解で裁判官が和解案を示すときは、判決ならばこうなるということに沿った和解案が示されることが多いようです。

 和解の合意ができれば、書記官が呼び入れられて、その場で和解の合意内容が確認され、それに基づいて書記官が和解調書を作成します。
 以前は、和解を成立させるときには、当事者の片方は裁判所にいなければなりませんでした(双方がWeb会議だと「弁論準備期日」にならず、「書面による準備手続」で、「書面による準備手続」では和解ができないため)。しかし2023年3月1日以降は、双方がWeb会議でも弁論準備期日とできることになり、和解を成立させることができるようになりました。

 和解については「和解」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「和解」でも説明しています。
 

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