庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

  私の読書日記  2024年5月

40.~42.わたし、定時で帰ります。1~3 朱野帰子 新潮文庫
 企業のウェブサイトの構築・運営の請負を主要な業務とする会社ネットヒーローズに入社して10年32歳の制作部員東山結衣が、定時で帰ることを心がけ実践しつつ、中間管理職としてみんなが定時で帰れる会社にしようと奮闘するお仕事小説。
 会社の業績を上げ評価されたいために時間無制限で働こうとするワーカホリック、無茶な要求を続け際限ないサービスを要求する顧客企業、勤務時間中サボって必要もない残業をして残業代を稼ぐ従業員など、時間外労働削減の障害となる原因を挙げて問題提起をしています。しかし、この作品では、社長が幹部職員が健康を害したことから時間外労働削減を提唱し、採用面接で定時帰宅を宣言した東山結衣を採用し、さらには定時帰りをする女性管理職をロールモデルとして広報に利用するという設定で、東山結衣の姿勢が公式には(表向きは)会社のトップが支持していることになっています。それでもなおさまざまな社内事情で東山結衣は苦戦を続けることになるのですが、読者にとっては自分と同様の境遇とは感じにくいでしょうし、ふつうには考えにくいくらい恵まれた条件でなおこんなに苦戦するというなら自分も闘えるというようには感じにくいのではないかと思ってしまいます。そして経営トップは悪者にしないでおこうというスタンスには、私はやはり馴染めません。

39.新章 神様のカルテ 夏川草介 小学館文庫
 本庄病院から信濃大学病院に移籍した栗原一止が、移籍後2年が経過して「大学院生」の身ではあるが経験9年目の医師として第4内科第3班通称「栗原班」の副班長として難易度の高い患者の治療に追われる姿と大学病院の組織の論理に縛られ悩む姿を描いた小説。
 2012年出版の3巻の終わりで信濃大学病院への移籍が示されながら、その信濃大学病院移籍後が書かれるまでに6年半かかっています。裏表紙には「大学病院編スタート!」と書かれて続巻が予定されているもののそれから5年が経過した現時点で未刊で新刊情報もありません。産みの苦しみ、ですね。それなら570ページあまりも本を太らせないで(1巻から3巻まで毎回本の厚さを増大させてきましたがさらにそれを超えた新記録)、2冊に分ければいいかとも思いますが、29歳の膵がん患者二木美桜がずっと出てくるので、作者の気持ちとしてそれも難しかったのでしょうね。
 3巻では3月末まで描いていますが榛名が妊娠しているということはまったく出てこない(1月に氷点下10度の屋外で榛名が一止にマフラーを貸している:3巻422ページ。さすがに妊娠しているという情報があれば一止の方から気遣う発言くらいあるだろう)のに、その年の5月に、来週が出産予定日(543ページ)、産気づいてタクシーで産院に向かう(576ページ)っていうのは、計算が合わないのですが…

38.神様のカルテ 0 夏川草介 小学館文庫
 栗原一止が、友人にして「医学部の良心」と呼ばれた進藤辰也と将棋部三角関係事件の一角をなす今は進藤の妻如月千夏らと過ごした学生時代、本庄病院が「24時間、365日対応」を打ち出すに至る沿革、栗原一止の研修医:本庄病院1年目の様子、山岳写真家あるいは山を愛する者としての片島榛名を描いた「神様のカルテ1~3」のエピソード0ないし番外編の短編集。
 1巻の前半で、栗原一止に優しくする度に「私は妻のある身だ」と突き放されイジられていた看護師東西直美。1巻でも設定上はわかっていたのですが、栗原一止がハルに出会う前から東西は傍にいて好意を示していたんじゃないの。ちょっと東西が愛しく思える。
 栗原一止入居時の御嶽荘の面々。1巻から3巻では登場しない「専務」が新登場。どこへ行ってしまったのか、それとも後日満を持して再登場するのか…

35.~37.神様のカルテ 1~3 夏川草介 小学館文庫
 信濃大学医学部を卒業後松本市内の「24時間、365日対応」を掲げる病床400床の本庄病院に勤務する5年目・6年目の消化器内科医栗原一止が連日の長時間勤務を続けながら地域医療、救急医療に従事する日々を描いた小説。
 医師の過酷な勤務、助けることのできない患者にどう対応するか、医師の良心とは何かなどを問題提起し、2巻では家庭生活、家庭責任をどう考えるのか、3巻では日進月歩の医療を学ぶことなく目の前の診療に追われて最新の知識を持てない状況で診療に当たることの是非という困難なテーマをも扱っています。
 一止の妻ハル(榛名)の明るく健気な様子にほのぼのさせられ、こんなにも妻に愛されていれば、あらゆる困難にも立ち向かっていけるかと思わせてくれます。まぁこれで家庭を顧みないと妻から離婚を言い渡されと(ふつうならそうなりそうですけど)なると、ジュンブンガクになってもエンタメにならないですもんね。
 1巻の最初の方で、デジャヴ感があって、あれ読んだことあったかと自分の読書記録を確認したら読んでない。おかしいなと思ったら、2011年に映画になったのを見てました。そのときは原作読まなかったんですね。今回は、「スピノザの診察室」を読んだ流れで前作を読んでみました。
 スピノザの診察室では京都銘菓の紹介が多くありましたが、こちらでは信州の地酒の数々が紹介されています。酒も甘みもいける作者なんですね。

34.スピノザの診察室 夏川草介 水鈴社
 緻密な内視鏡操作と冷静な判断力で次々と難易度の高い内視鏡治療を成功させ世界中を飛び回る一流の内視鏡医として大学で将来を嘱望されていた雄町哲郎が、妹の病死により孤児となった小学生の甥美山龍之介を引き取るために大学病院の医局長の職を辞して京都市内の小規模な民間病院に転職し、終末期医療や訪問医療に従事する姿を描いた小説。
 飛び抜けた能力を持ち実績もあって周囲の期待を集めていたエリートが自らの意思でエリートが好まないような現場に身を投じて人間味のある仕事をするという設定は、私の業界でいえば「家栽の人」のような趣です。洞察力・判断力はともかくとして、内視鏡操作の技術や最先端の医療・医薬品知識がそれを使う場面が少ない現場にいて維持できるのかは疑問ですが(現役医師の作者が書いているのだからそう非現実的ではないということなのかも知れませんが)。
 スピノザの診察室というタイトルや、「願ってもどうにもならないことが、世界には溢れている。意志や祈りや願いでは、世界は変えられない。そのことは絶望なのではなく、希望なのである」(218~219ページ)というのは難解に思えますが、「手を取り合っても、世界を変えられるわけではないけれど、少しだけ景色は変わる。真っ暗な闇の中につかの間、小さな明かりがともるんだ。その明かりは、きっと同じように暗闇で震えている誰かを勇気づけてくれる。そんな風にして生み出されたささやかな勇気と安心のことを、人は『幸せ』と呼ぶんじゃないだろうか」(277ページ)と敷衍されると、なるほどと腑に落ち、沁みました。
 京都の町並みの描写や甘党の雄町哲郎に合わせた京都銘菓の紹介も、和みます。

33.肉ビジネス 小池克臣 クロスメディア・パブリッシング
 1年のうち300日以上和牛を食べる生活を続けているという著者が、牛肉のブランド、流通、冷凍・熟成、調理・焼き方等について解説した本。
 著者の紹介が「ふつうの会社員」というのが好感します。詳しくなるとコンサルタントとか何やらカタカナのもっともらしい肩書きを名乗る人が多い中で、どこか潔さを感じます。しかも、魚屋の長男って…
 さまざまな蘊蓄の中で、おいしい牛肉を食べるという観点からは、かつてはA5の牛は本当においしかったが今では黒毛和牛の半分以上はA5でA5であればおいしいとは限らなくなっている(38~41ページ)、牛肉の旬は11月から2月くらいで12月がピーク(60~62ページ)、焼肉は火の入れ方で大きく味が変わる(169~178ページ)とかが、読みどころというか、勉強になりました。

32.口臭を気にする女、気にしない男 櫻井直樹 英智社
 口臭専門外来をしている歯科医の著者が口臭について解説した本。
 著者のクリニックの口臭外来に来る患者のうち実際に口臭がある「真正口臭」は1割くらいで、実際には口臭がないかほとんどないのに口臭があると思い込んでいる人が9割を占めているとか(48~49ページ)。他方で「口臭は多かれ少なかれ、誰にでもある。1日の体調の変化でも、出たり出なかったりする」(215ページ)というのは、理屈に合ってるのか…
 口臭の原因として実にさまざまなことが挙げられています。姿勢が悪い(50~59ページ)、朝ご飯を食べない(70ページ)、「腸漏れ(リーキーガット)」(98~111ページ)、ストレス(118~121ページ)、カフェイン(122~125ページ)、ファストフード(125~130ページ)、食いしばり(134~136ページ)、歯並び(136~138ページ)、睡眠不足(144~146ページ)など。さらに「腸漏れ」の防止のために避けるべき食品はグルテン(パンも麺も)、カゼイン(乳製品)、シュガー、保存料(リン酸塩)(100~110ページ)って…いろいろ、思わぬことが書かれていて興味深く、また勉強にはなりますが、実行は無理、気にしてられないよねという感じです。

31.マヨナカキッチン収録中!2 森崎緩 双葉文庫
 第1巻で文山遼生の病気欠場の際にピンチヒッターで入った同じ事務所の24歳の若手イケメン俳優郡野流伽が好評で、テレビ局から2クール目は主役は郡野流伽で文山遼生はアシスタント役で共演と指定されてスタートした「マヨナカキッチン」で、表面的には友好的だがしっくりしない2人をやきもきしつつ見守る担当アシスタントプロデューサー浅生霧歌が、巻き起こる事件に翻弄されながら奮闘するお料理お仕事小説。
 番組制作会社の仕事のハードさとか、映像制作の大変さとやりがい(妹の結婚式ムービーの制作過程とかも含め)なども描かれていますし、チルエイトのスタッフの面々のキャラクターも(私はディレクターの土師知彬とか好感します)楽しめます。
 第1巻以来、お仕事と並行してほのかに進む恋愛小説的な側面はなかなかに歩まず、まだまだ続巻がありそうだねという印象です。

30.マヨナカキッチン収録中! 森崎緩 双葉文庫
 番組制作会社チルエイトのアシスタントプロデューサーとして働く35歳の浅生霧歌が、正統派イケメン俳優だったが8年前に若手女優とのスキャンダルで非難を浴びて仕事を干され続けている37歳の文山遼生を主役とした料理深夜番組「文山遼生のマヨナカキッチン」を担当し、NGは出さず順調に収録はできるものの周囲と馴染まない文山遼生とスタッフとの関係を改善し、また文山遼生の芸能界復活をサポートし、そして番組の成功を目指して奮闘するお料理お仕事小説。
 良い素材を使用しつつ誰でもできそうな料理を紹介するというコンセプトで、簡単にできそうなレシピを用いていますが、浅生霧歌がそれを材料もあり合わせのもので、さらに包丁は使わず料理ばさみで、さらにはレンチンでという時短料理を徹底し、5分10分で料理してそれが本人も周りもおいしいと唸るというのは、読んでいてある種の快感はあります(料理を手早く作れるというのはそれ自体1つの才能だと思います)が、さすがにちょっと無理がないか?とも思います。

29.同性婚と司法 千葉勝美 岩波新書
 元最高裁判事の著者が、同性婚を認めていない現行法制度が憲法違反であることを論じた本。
 著者の問題意識は、「同性愛者同士が自己の性的指向を踏まえた恋愛、性愛に従って、永続的な精神的及び肉体的結合を目的として、真摯な意思をもって共同生活を営んでいるという同性婚状態にある場合であっても、婚姻によるかけがえのない個人の尊厳としての喜びを享受できないという深刻な不利益を甘受せざるを得ない」、これは個人としての尊厳が損なわれている、まさに憲法13条の幸福追求の権利が損なわれている深刻な状態というべき(8ページ)という点にあります。実に熱い語りです。
 著者はこれまでの同性婚を認めていないことの立法不作為の国家賠償請求に関する5つの地裁判決、アメリカの連邦最高裁判決、さらには日本の最高裁での議員定数や非嫡出子の相続分に関する違憲判決などを紹介し論じた上で、憲法第24条の「両性」は「当事者」、「夫婦」は「双方」と読み替えればよく、それが憲法の「文理解釈」としても許容される、それが無理なら憲法第24条第2項を類推適用することにより同性婚を認めていない現行法制度が憲法第24条に反し違憲であるとの結論を導くことができるとしています。生え抜きの裁判官にして元最高裁判事(現在は退官して弁護士)の主張としては大胆なものと言えるでしょう。
 ただ、保守派の伝統的価値観にそぐわないために法改正が進まず(頓挫し)法律婚による多数の利益を受けられない問題が継続している点で類似の状況にある夫婦別姓問題では、著者が2015年12月16日最高裁大法廷判決で、憲法違反の反対意見を書いた5人の裁判官に与することなく、夫婦別姓を認めない現行制度は憲法第13条にも第14条にも第24条にも違反しないという多数意見であったことと、同性婚についてのこの熱意の落差はどう考えればいいのか、この本では夫婦別姓には文字通り一言も触れられていないのでわかりませんが、ちょっと悩ましく思いました。

22.~28.書店ガール 1~7 碧野圭 PHP文芸文庫
 第1巻時点で40歳のペガサス書房吉祥寺店副店長の西岡理子、27歳のコネ入社正社員北村/小幡亜紀、その2年後を描く第2巻で登場する吉祥寺駅ビルの大手チェーン店の文芸書担当者宮崎彩加、第2巻の1年後を描く第3巻初めで西岡理子が店長を務める新興堂書店吉祥寺店に小幡亜紀に憧れて学生アルバイトとして入店した高梨愛奈らの悲喜こもごもを描いて、書店で働くこと、女性が働くことの辛さ、苦しさ、難しさと達成感、希望を描いたお仕事小説。
 第1巻では、西岡理子と小幡亜紀の対立から休戦・共闘という展開で軋轢部分が多かったのですが、第2巻以降は悪役だった亜紀の夫小幡伸光も含め主要登場人物はいい人になり、チェーン店本部の幹部や一部の悪質な客などが悪役になり、さらにはチェーン店の経営層もまた悪いとはいえないというニュアンスを湛えて行きます。それはそれで微笑ましいというべきかも知れませんが、私は第1巻の激しさがよかったなと思います。
 女性が働き続けることの困難さ、書店を取り巻く状況とそこで働くことの困難さを、絶望的な暗さでもなく、といって楽天的な希望に満ちることもなく、ややほろ苦い展開で描いているのがリアリティを感じさせます。
 40代の西岡理子、20代後半から30代前半の小幡亜紀らを主役にして、女性の労働を描く本が「ガール」と題することに、私は違和感を持ちますが、作者からすれば、おそらくは出版社の編集者が提案したタイトルを拒絶できずまたその方が売れるという世相と折り合うことが現実的と判断したということなんでしょうね。

21.ホントのコイズミさん NARRATIVE 小泉今日子編著 303BOOKS
 ポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん」から脚本家(宮藤官九郎)、ポッドキャスター、書店経営者、哲学者をゲストに迎えた回を出版した本。
 1冊目のYOUTHと2冊目のWANDERINGは、基本的に書店・出版関係者を中心にしていましたが、3冊目のNARRATIVEは特にそういう方向性ではなくおもしろければいいという選択のように見えます。ポッドキャスターなんて共食いみたいなチョイスもありますし。
 小泉今日子が、エゴサーチを平気でする(26ページ)とか、小泉放談で「エゴサめっちゃするよ」と書いてると指摘されてドラマのオンエア中に2チャンネル見てて下手とかすごい言われてて(72ページ)とかいうのが、打たれ強さなのか今は乗り越えたよということなのかわかりませんが、ちょっと感心します。「今57歳ですけど、すごくいろんなことが頭に入ってきて勉強ができるようになって、確実に昨日より今日の私のほうが何か進化しているような気がしている」(149ページ)とか「57歳の私が若いと言われることは、わりと嬉しいよ。だけど、私は君たちよりもっとじつは楽しいこと知ってるよ」(152ページ)とかも。
  YOUTHとWANDERINGは私の読書日記2024年4月分で紹介しています(YOUTHは19.、WANDERINGは20.)

20.放課後ミステリクラブ3 動くカメの銅像事件 知念実希人 ライツ社
 4年1組の重田太一がドッジボールをしていてそれたボールを取りに行ったとき校庭の隅の茂みから見覚えのない大きなカメの銅像が顔を出しているのに気づき、しかも翌日もう一度見ると今度は体の半分が茂みから出ていて、カメの銅像が動いたと驚き、同級生のミステリクラブ3人組に相談し、例のごとく名探偵辻堂天馬が推理するという児童向けミステリー。
 読んでいて早い段階から概ね同方向の真相を予想していましたが、提出された結果は想定していませんでした。なぜなら、この作品の示す「真相」であれば、どんなプロがしたとしても現場にその痕跡を残さないということはとても考えられず、現場を観察すれば最初に現場を確認した段階で名探偵が気づかないなどあり得ないからです。だからこそ、現場にあからさまな痕跡が残らない、結末とは少し違う謎解きを想定していたのです。それだとしても、それでも今回は名探偵辻堂天馬、観察力なさ過ぎと、私は思っていたのですが。ということで、悪いけど、この作品の謎解きは成立していないと、私は思います。
  1と2は私の読書日記2024年4月分で紹介しています(1は21.、2は22.)。

19.労働法はフリーランスを守れるか これからの雇用社会を考える 橋本陽子 ちくま新書
 ウーバーイーツの配達員など雇用契約の形によらずに働き会社側からは業務委託だとか自営業者だと言われている人々について、労働者であれば当然に受けられる最低賃金とか解雇規制、失業手当、労災保険などの保護それ自体やそれに類する保護をどのように及ぼしていけるかについて、労働法の歴史やヨーロッパでの動きなどを紹介して論じた本。
 著者の主張は、「フリーランス新法について指摘したとおり、個人事業主に対する保護を実現するためには、労働者に認められる場合よりも劣る保護を新たに追加するという方策が、常に取られてきたと言わざるを得ない。そして、いったん自営業者に対する特別規制ができれば、その対象となった自営業者の労働者性は否定される傾向になりがちである」(245ページ)というところに端的に表れています。労働者性の判断では、労働者性が積極的に認められるかという姿勢ではなく、事実上の拘束を重視し、事実上の拘束を受けているものは事業者性が弱く、事業者であり得ないものは労働者だということかと思われます(237~238ページ)。
 ヨーロッパの法制や判決の紹介は勉強になりましたが、同時に各国の具体的な法制度や使われている概念・用語を私が理解できていないので、今ひとつ消化しきれませんでした。残念。

18.動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話 大渕希郷 緑書房
 動物園などで見られる動物51種について、概ね3ページで、その生態や希少性(絶滅危惧の程度)等を解説した本。
 動物園の飼育員の話が中心ということからか編著者の関心からか、繁殖(発情期や交尾の方法、妊娠期間、1度の出産での出生数や出産の頻度、その後の子育て)と寿命の話題と餌・食事、飼育での注意点の話題が中心となっています。
 アルマジロの陰茎が全長の2/3に及ぶ(13ページ。そう書いていながら、「交尾では体長の約半分ほどにまで膨らんできます」って、謎)とか、アルマジロ類の多くは1日に16~18時間眠ります(12ページ)とか、トリビアが満載です。
 トナカイは硬い餌を与え続けると歯が著しく摩耗したり欠損する(41ページ)、ゴリラに野生でない人が食べる甘い果実をやるのは虫歯の元(51ページ)など、餌についての苦労話もいろいろとあり、興味深く読めました。

12.~17.図書館戦争シリーズ 有川浩 角川文庫
 「メディア良化法」に基づき公序良俗に反する書籍等の入荷や流通の禁止、放送禁止やインターネット上の記事等の削除などの権限を持つメディア良化委員会と、「図書館の自由法」に基づき図書館の資料収集と提供の自由を行使しメディア良化委員会の検閲に対して唯一対抗権限を持つ図書館が互いに武装して抗争する2019年の日本を舞台に、高3の秋に好きだった本の続巻が出たのを買いに行った書店でメディア良化委員会に没収されそうになった本を取り戻してくれた関東図書隊員を名乗る青年を「王子様」と憧れ、大学卒業後図書隊に防衛員として入隊した笠原郁が、厳しく当たる教官堂上篤及び堂上班のメンバーとともに良化特務機関や賛同団体の攻撃と闘うアクション恋愛小説。
 恋愛小説としては、第1巻の最初の6分の1くらい読めば行く末は見えますが、そこを読者の期待に違わずに書き切って行くところにこそ手腕が感じられ、王道を行く気持ちよく読める作品だと思います。
 しかし、その他の部分には頷けないものがあります。冒頭のキャスト紹介から主人公2人を「熱血バカ。」「怒れるチビ。」とすることに始まり、言葉狩りへの反発がテーマであるからではありましょうけれど、挑発的な物言いが散見されます。
 本来のテーマの表現の自由・知る権利と検閲では、個人の人権やプライバシーと抵触するものであっても検閲は正当化されず、「その場合の救済措置は、司法が受け持つべき問題です」(2巻302ページ)というスタンスであるはずなのに、図書館に居座るホームレスについては「居丈高に対処したらいわゆる人権屋に駆け込まれて裁判沙汰になったりもする」(5巻198ページ)などと書かれています。場面が違うというのでしょうけれども、人権は嫌われ者の権利から掘り崩されて行くもので、自分の意に沿わないものであれ権利を守る必要があるのは表現の自由だけではありません。人権派と呼ばれる弁護士たちはそういう思いで世間やタカ派マスコミから嫌われる人たちの権利を守るべく闘っているのです。この作品での図書隊と同じ方向を向いて闘っていると思うのですが、作者がタカ派マスコミと同じセンスの「人権屋」などという言葉を持ち出すことには驚きます。この5巻と6巻の「別冊」はアニメ化が決まってその宣伝のために書き足されたようですが(文庫版あとがきで「大人の事情」と説明しています)、4巻までの本来のシリーズで図書隊の敵はメディア良化委員会というメディアを取り締まる権力であったのに、別冊では外れものの個人が悪とされ、闘う方向がある意味で外れものを嫌い取り締まりたい権力と一致するように見えます。「人権屋」などという言葉もその中で出てきたように感じられますし、6巻で専らストーカーが悪役・敵となり読んでいて「めちゃくちゃ気持ち悪い」(手塚:6巻247ページ。作者が「旦那」から「後味があまりにも気持ち悪くて」と泣きを入れられたそうです:単行本あとがき)のも、思えばそういった方向性の変化/変節のせいだったのかも(私にとっては、ですが)。恋愛小説としては楽しく読めましたが、そういうところで、なかなか人に勧めるのを躊躇してしまいます。

11.自治体のための所有者不明土地対策マニュアル 永盛雅子、井無田将、幸田宏編著 中央経済社
 所有者が不明(所有者が誰か自体がわからない)だったり所有者や共有者の一部の所在が不明(どこにいるのかわからない、連絡が取れない)の土地について、自治体がその土地を取得したり利用したいとか、道路管理等の都合で敷地内の木の枝を剪ったり倒壊しそうな家屋を解体したい、固定資産税を徴収できず困っているなどの事態にどう対応できるかを解説した本。
 所有者不明土地等については、近時さまざまな法改正がなされています。その制度について理解するという観点では、後半3分の1程度を占める第2章を先に読んだ方がわかりやすいかと思います。一般人と比べて行政はそういった場合にとりうる手段や調査でどこまで優遇されているかもわかります。
 道路管理や近隣住民の迷惑(むしろ突き上げ、でしょうか)対策、徴税などの事務で所有者不明土地問題で行政がいろいろ苦労しているということも理解できますが、他方、行政が優遇されている、例えば土地の時効取得について行政財産は実態としては利用されていないが故に第三者が長期にわたり(時効期間が経過するほどに)占有しているにもかかわらず「黙示の公用廃止」が認められない限り(めったに認められない)時効取得されないというのに、行政が占有している土地については積極的に時効取得の主張を勧めていることなど、お役所の専横というか、手前勝手さを感じます。

10.桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 奥泉光 文春文庫
 東京都心まで2時間あまりの千葉県「権田市」にある「たらちね国際大学」に日本文化学科准教授として赴任した桑潟幸一40歳が、降りかかる事件の謎を、研究室を部室化した文芸部員の学生たちに解いてもらうライトミステリーの短編連作。
 「化石に眠るDNA」( ↓ )の著者が激賞しているので読んでみたのですが、私には合わない作品でした。冷笑・嘲笑と卑下に満ちた文章は、概ね不愉快で、笑いのツボも私とはズレていて全然笑えませんでした。太字ゴシックを多用する文章の不快感に、そう言えば準備書面でこういうのを書いてくる弁護士が時々いるなと、弁護士会が昔やったアンケートでそれを毛嫌いしている裁判官がけっこういたなというのを久しぶりに思い起こしました。底辺大学の実情、堕落ぶりを茶化すのは、作者自身が大学教授ということもあり、勝手にやってりゃいいと思いますが、千葉県出身でも青森県出身でもない(山形県出身だとか)作者が徹底的に千葉を田舎だと言い募ったり「本来なら青森の横あたりにあるべき千葉」(20ページ)とかいうような、他者をバカにし蔑むことで笑いを取ろうという姿勢には辟易します。

09.化石に眠るDNA 絶滅動物は復活するか 長田義仁 中公新書
 化石の中のDNA(古代DNA)研究の歴史と現在と今後のあり方について、「ジュラシック・パーク」(恐竜の血を吸った蚊が琥珀の中に閉じ込められた化石から恐竜のDNAを採取して恐竜を復活させる)の実現の可能性、恐竜ほど古いものは無理でも近年の絶滅動物なら復活させられるかというテーマを軸に、著者の愛読書の「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」(奥泉光)の例を用いながら論じた本。
 化石の中から採取したアミノ酸やDNAは、劣化し分断されている上に菌類や細菌が入り込んで増殖していたり、さらには採取・実験・検査の過程で別の(現生の)ものが混入するなどのおそれがあり、そもそも化石生物のものかどうかの同定からして難しいなど、学問・研究的な観点での慎重さが求められる一方で、PCRによるDNAの増幅技術やゲノム解読・塩基配列決定技術の進歩により絶滅種の復活も比較的最近絶滅した種であれば技術的には不可能ではなくなっていること、その中で絶滅種を復活させるということがいいことなのかとか、勉強になるとともに考えさせられる本でした。
 DNAの増幅やゲノム解読に関する技術的な説明には私には難しく思えたところがありましたが、それ以上に、著者が強調するクワコーの素晴らしさが、私には今ひとつ理解できないのが残念でした。

08.初恋食堂 古矢永塔子 小学館文庫
 高齢者向けマンションで健康食提供の調理の仕事をパートタイマーで始めて半年経つが常時顔を隠していることもあって人間関係がうまく行かず浮いている28歳の日向桐子が、その高齢者向けマンションの住人で食堂で食事をしない72歳の匙田譲治にひょんなことから連れて行かれた匙田の友人が経営する居酒屋「やぶへび」で匙田が作る料理を振る舞われたことを契機にほだされて行くお料理恋愛小説。
 本編(第1話)冒頭で、主人公が休憩中もマスクとサングラス(のような眼鏡)を外さず顔を隠していることがクローズアップされ、裏表紙では「自分の要望に強烈なコンプレックスを抱く日向桐子は」と紹介されています。そう言われれば、主人公が要望に劣等感を持っていると受け止めるのが通常だと思いますが、第2話の最初が「美しさは罪だ」で、桐子は美しすぎるという設定です。美人である故に被害を受け顔を隠して生きたいという人も、いるかも知れませんが、小説の設定として共感を呼ぶとは言い難く、そこでちょっとシラケる感じがします。
 28歳女性(既婚者)が72歳男性に恋するというのも、高齢者男性読者には希望を持たせるものでこういう作品もあっていいでしょうけど、やはりちょっと無理筋かなという気もします(ま…自分ではサイトで26歳女性が58歳男性に恋する小説を書いている私がこう言うのもなんですが。他人の作品を読むと、そう思ってしまいますね。やはり)。
 こういったところの設定に難ありという気がしますが、読後感としてはほんわりとしたいい感じの作品ではあります。

07.マンション管理法律相談201問 弁護士が答えるマンション管理会社・管理組合からの質問 香川希理編著 日本加除出版
 マンション管理を専門的に扱っている弁護士が、マンション管理会社、管理組合からよく受ける相談について、区分所有法、標準管理規約、裁判例や過去の経験等に照らした回答を示した本。
 「はしがき」で、「マンション管理問題に5名以上もの弁護士で組織的に対応している事務所はおそらく日本初ではないかと自負しています」「弊所には少なくとも月間100件以上、累計で数千件の相談件数が集積されています。その中で繰り返し問われる問題や、学ぶところの多い問題を厳選し、201問にまとめています」と書かれています。本を書くのになかなかここまでの自信は示せないものですが、さすがに実務的な相談事例が少なからずあり、弁護士にとっては読みでがあります。サブタイトルにもあるように、またマンション問題を専門的に取り扱う(それで食っていく)ためには顧客は当然に管理会社が第1、次いで管理組合で、個人である区分所有者(マンションの各戸のオーナー)は相手方というか敵という視点が強く、相談を受ける場合は区分所有者側ばかりの私には、そこまで言う?と思う場面も少なからずありましたが。まぁマンションでの紛争では、裁判所も管理組合側に理解を示す傾向が強いので、裁判になったときの説明として間違ってはいないと思いますが。
 区分所有者と管理組合の関係が続く第8章までは、基本、管理組合側の視線で書かれているのが、管理会社が当事者として出てくる第9章になると俄然管理会社側の姿勢が顕著になります(むしろ管理会社に刃向かう管理組合はけしからんという論調)。第9章は「管理会社の問題」という表題ですが、管理会社に問題があるという視点ではなく、管理会社にとっての問題、管理会社が遭遇する問題というべきでしょう。

06.日本のコミュニケーションを診る 遠慮・建前・気疲れ社会 パントー・フランチェスコ 光文社新書
 イタリア人精神科医の著者が日本社会のコミュニケーションの特徴やその背景について論じた本。
 外国人の立場で日本社会・文化の西洋諸国との違いを論じるよくある類いの本です。その手の本は、基本的に著者が外国人であることを基礎として著者が育ってきた西欧社会ではというものの見方を売りにするはずですが、この本では核心をなす日本社会の特徴に関する記述の多くが、誰々の研究によれば…という自分以外の権威をベースに、しかも折々にステレオタイプの2分論に与するものではないがという趣旨のエクスキューズを置きながら、自分もこう思うというような書き方をしています。類書とは違うということを示したいとか、読者への忖度で自分は単純に決めつけるわけではないという姿勢を示したいとかの思惑があるのでしょうけど、私にはただペダンティックな文章が頭に入りにくく、また中途半端な印象が残りました。
 一番最後によりよいコミュニケーションのための五つのモットーとして、①他者に嫌われてもいい、②人に落ち込んでいる姿を見せてもいい、③自分の意見を言ってみよう、④目上の相手でも断っていい、⑤自分のユニークさに自信を持って、自分を苦しませない行動をとってみようを列挙しています(188~191ページ)。他人の研究等に依拠した(あるいは権威を借りた)文化論よりは、精神科医としての著者の経験をベースに日本の患者・若者の生きづらさを考察してそういった提言に結びつけた方がより実りのある説得的な本になったのではないかと、私は感じました。

05.ルポ歌舞伎町の路上売春 それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち 春増翔太 ちくま新書
 毎日新聞社会部記者の著者が歌舞伎町の路上売春に興味を持ち、路上売春者の支援活動をするNPOの相談室を訪れた者らに取材を続けて書いたノンフィクション。
 登場し紹介されている売春者の行き場のなさにまず胸が痛みます。虐待の連鎖みたいな話でなくても、なにか受け止められる場がないものかと思います(ふと、昔はやった麻丘めぐみの「芽ばえ」を思い起こし、日本社会は昔からそういう危うさを孕んでいたのかと思ってしまいました)。
 掛けでホストクラブに通わせて多額の料金請求をして払えなくなると売春を勧めるホストなど、若い女性を食い物にする連中に対する怒りをかき立てられます。ホストや、売春者の弱みにつけ込む買春客などもまた、さまざまに追いつめられた被害者である(より弱い者にさらにしわ寄せしている)という側面もあるとは思いますが。
 そういった構造を捉えて悲しみがなくなる/減るように社会をよくしていきたいという考えが摩耗してあまり語られなくなる(この本もそういった大きな話はなし)中、ボランティアで支援活動を続ける人たちの姿にはただ頭が下がります。

04.愛され続ける会社から学ぶ応援ブランディング 渡部直樹 同文舘出版
 中小企業や小規模な会社が応援されるブランドを作るための考え方、手法を説明した本。
 著者はブランドづくりの第1歩は、外部には見せない経営戦略としてのミッション(使命:なぜそのビジネスをしているのか)、ビジョン(目標:ミッション実現のために何を目指すのか)、バリュー(価値観:どのようにすればミッションの実現やビジョンに到達するのか)の決定だとしています。そして第2段階では環境や自社の強み・弱み、競合、ターゲットとすべき顧客層などを分析した上でで、顧客からの期待と自社ができることと自社がやりたいことを明確にし、お客さまに約束すること(ブランド・プロミス)を決定し、その上でマーケティング戦略、顧客との接点の設定などを考えていくとされています。
 企業向けの戦略を個人自営業者が応用するのは難しいですが、私の場合、それを考えると、
ミッション:庶民/弱者が正当な権利を実現し紛争を満足に解決すること
ビジョン:自分が対応可能な範囲で庶民/弱者の事件を安定して受任する態勢
バリュー:誠実な仕事とフェアな訴訟対応
ブランド・プロミス:庶民の側で仕事をする(弱い者いじめの事件は受任しない、原則として企業の事業のための事件は受任しない)
といったところでしょうか。
サイトで「私のセールスポイント(伊東を選ぶ5つのメリット)」を公開しています (^^;)

03.画材で印象を変えるキャラクターイラストの描き方 古島紺 グラフィック社
 2つの画材の組み合わせ6種(水彩色鉛筆・水性マーカー、アルコールマーカー・色鉛筆、ボールペン・万年筆インク、鉛筆・不透明水彩、透明水彩・筆ペン、アクリルガッシュ・パステル)を用いた美少女イラストの作例6つの作成(主として着色)過程を詳細に解説し、画材の特性等について論じた本。
 それぞれのパーツごとに効果を与える技法を解説してくれているのですが、かなり手先が器用で丁寧な仕事ができ、工程の順序をきちんと計画する能力とアイディア・センスがないとマネできないなぁということを実感します。単純にプロの仕事に感心する本で、これを読んだから自分も描いてみようとは思えない本だと思います。
 画材の説明で、水彩系のプロの解説でふつうに出てくるマスキング液の話がまったく出てこないのでハイライト(一番明るいところ:たいていの水彩画の技法解説ではマスキング液を塗ってその上から別の色を塗り、乾いたあとに剥がすことで白のまま残すように書かれています)どうするのかと思っていたら、別の色を塗った上に白絵の具を載せるって。プロの技法はやはり一様ではないのだと再認識しました。

02.アメリカから見た3・11 日米両政府中枢の証言から 増田剛 論創社
 福島原発事故直後の数日間の日本政府の内情と混乱、アメリカ政府の対応と困惑ぶりを事故後12年を経てNHK記者である著者が関係者にインタビューした本。
 アメリカから見たというタイトルながら、アメリカ側の見方等の話は3割くらいで、日本の官邸でのやりとりが中心のおおかたこれまでに聞いたことが再確認されている本という印象を持ちました。
 事故後12年を経てこそようやく明らかにできる真実、なんてことならいいのですが、むしろ12年経ってもなお現在の政権や当時の政権関係者の立場を気遣い忖度した発言に終始するのだなと感じました。
 私には、アメリカ政府の方よりも、3月15日未明に撤退を口にしていた東電に菅首相らが乗り込んで撤退はあり得ないと演説した後、小部屋で菅首相が東電の勝俣副社長に改めて「絶対に撤退はない。何が何でもやってくれ」と言ったところ、勝俣副社長は「はい。子会社にやらせます」と答えたと同行していた寺田首相補佐官が証言した(140~141ページ)というのが興味深く思えました。

01.魅せる!ふるさと納税 返礼品でPRせよ 川口篤史 みらいパブリッシング
 自社の商品をふるさと納税の返礼品に登録することで商品の認知度を労せずに高め利益を上げようと勧める経営者向けのビジネス書。
 著者自身が鉄筋コンクリート製の防災シェルターを開発したが高額商品であり認知度も低くまったく売れなかったが、自治体職員からふるさと納税の返礼品にしてみたらどうかを声をかけられて1億円の納税の返礼品として登録したら、マスコミが飛びついて話題にし、実際に成約したという成功体験を基にした本です。要は、商品を売りたい/PRしたい事業者と、税金を集める材料探しに苦心する自治体、世間の目を引く話題に飢えているマスコミの利害が一致して、売れなかった商品が売れた、これをビジネスにしない手はないというものです。
 何ごとも初期には他人が思いつかないところで成功することがあっても、競合がいない一人勝ちのブルーオーシャンは長く続かず、すぐに激しい競争が行われるレッドオーシャンになってしまうものですから、この本を読んで思い立った経営者がうまく行くかは、お手並み拝見というところでしょうけれども。

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