庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

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秘密の島のニム (原題:Nim’s Island)
ウェンディー・オルー作
1999年 日本語版は2008年、映画化にあわせたタイミングで発売
 海洋生物学者の父ジャックと2人で無人島に住む少女ニムが、ジャックがプランクトンの採集に出て遭難して帰りつくまでの間の冒険の日々を描いた物語。
 2008年に映画化され、日本では「幸せの1ページ」というタイトルで公開されました(映画についてはこちら)。
 ニムは、父親の観測や畑仕事も手伝い、父親の留守中は1人でその仕事を淡々とこなします。さらに父親に教えられたことばかりでなく、冒険小説作家アレックス・ローバーから依頼されると、ヤシの実のいかだが造れるか実験したり試行錯誤して報告するなど、思考し科学する力も持ち合わせています。アレックス・ローバーから島の様子を教えて欲しいと依頼されると、それまで登ったことのない火山にも登るなど勇気もあります。
 ニムは、アシカのセルキーやウミイグアナのフレッド、グンカンドリのガリレオ、ウミガメのチカなどとも仲良しで、一緒に泳いだり滝を滑り台にしたりして遊びます。このあたりの元気で楽しい様子も、いい感じです。
 ニムは1人で観光船会社トロッポ・ツーリストを追い払いますし、アレックス・ローバーにも「だいじょうぶです。助けが必要なわけじゃありません。」(121頁)と答えているし、アレックス・ローバーが島にたどり着いたときも海に沈みかけているのを助けるなど大人と対等に活躍したり自立心も見せています。 しかし、他方、ニムは、父親のジャックが留守中とはいえ、精神的にはジャックの庇護下にありますし、ジャックの留守が長引くとアレックス(アレキサンドラ)・ローバーがニムの島までやって来ます。トロッポ・ツーリストを追い払うのにはアレックス・ローバーのアドヴァイスを受けていますし、嵐の時の対処も父親からの指示に従っています。そのあたり、自立・自立心の度合いがそれほど強くも描かれていません。
 あんまり強すぎない方が普通の女の子の読者に入りやすいとも言えますが、そのあたりのかねあいで「少しお薦め」くらいに位置づけておきます。

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