◆短くわかる民事裁判◆
控訴理由書の提出
控訴理由書は、控訴裁判所宛で作成し、控訴裁判所に提出します(民事訴訟規則第182条)。
控訴理由書は正本を控訴裁判所の担当部に直接提出します。控訴理由書は準備書面と同様の扱いですので、FAX送信でもかまいません(民事訴訟規則第3条)。
控訴理由書の副本は、相手方(被控訴人。多くの場合はその代理人の弁護士)に直送してかまいません(民事訴訟規則第47条。裁判所による「送達」が必要なわけではありません)。裁判所に聞けば、直送してくれと言われることが多いですが、まだ委任状が出ていないので裁判所に提出してくれと言われることもあります。そういうことがあるので、私は、控訴審の担当部の書記官に電話して、控訴理由書の副本は原審代理人に送っていいか(訴訟委任状は出ているか)を聞いてから送ります。
なお、FAX送信の場合は、相手方に直送する場合は、控訴裁判所と相手方(代理人)宛の送信状(下側に受領書欄を設けたもの)をつけて、控訴裁判所と相手方に同時送信します(通常の準備書面のときと同じ)。相手方への直送をしないときは、副本は裁判所から送付願いますという上申書とともに、裁判所にのみFAX送信します。
通常は、控訴理由書提出期限(控訴提起から50日以内)より前(経験上は控訴提起後約1か月、控訴理由書提出期限の2〜3週間前が多い)に控訴裁判所からの照会書が、控訴人に代理人(弁護士)が付いていればその事務所にFAXで、そうでなければ控訴人の自宅(控訴状に「送達場所」を記載すればそこ)に郵送されてきますので、控訴裁判所の担当部・係がわかりますが、提出期限が来ても照会書が来ていない場合どうすればいいでしょうか。
その場合は、まず控訴裁判所の受付に連絡し(第1審裁判所での控訴提起番号:高裁に聞くなら(ワネ)、地裁に聞くなら(ハレ)を準備。第1審の事件番号でも対応してくれますが)、控訴裁判所に訴訟記録が到着しているかを確認します。到着していれば控訴裁判所での事件番号(高裁なら(ネ)、地裁なら(レ))と担当部を聞き、その担当部に連絡して、現状と控訴理由書副本の扱いを聞きます。
控訴裁判所に訴訟記録が来ていない場合、第1審裁判所の担当部・係(第1審判決をした裁判官の係)に連絡して、どうするかを相談します。
控訴理由書の提出期限が来てもなお訴訟記録が第1審裁判所にあったときの私の経験を「訴訟記録が第1審裁判所にあるときの控訴理由書」で説明しています。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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