◆短くわかる民事裁判◆
利息と遅延損害金
貸金業者から借金をしているとき、借主は、返済を約束している借入金元本の他に、借入(継続的な貸し借りの場合は、前回の返済や借入)から返済日までの利息、返済が約束した日(返済期限、支払期日、弁済期などとも呼ばれます)よりも遅れた場合はそれに応じた遅延損害金を支払うことになります。
貸金業者との契約書(金銭消費貸借基本契約書:きんせんしょうひたいしゃくきほんけいやくしょ など)には、必ず、利息の利率(約定利率:やくじょうりりつ)と、支払日(弁済期:べんさいき)、支払日に約束した金額を支払わないときにはその遅れに応じて遅延損害金を支払うこと、遅延損害金の利率が定められています。通常は、遅延損害金の利率は利息の利率より高く設定されています。
民法上は、(事業者でない)貸主と借主の間の契約で利息の支払いの約束がない場合、無利息になります。遅延損害金は、約束がない場合でも発生し、契約上利率の定めがないときは法定利率(2020年4月1日以降は年3%)になります。もし利息の利率のみが定められていてそれが法定利率より高く、遅延損害金の利率が定められていないときは、利息の利率が遅延損害金の利率でもあると扱われます。
貸金業者は、当然に、契約で利息及び遅延損害金の利率を定めていますが、それらの利率は利息制限法の制限利率を超えることはできず、利息制限法の制限利率を超える定めをした場合には、利息制限法の制限利率が適用されます。
借主が支払期日に遅れた場合、支払期日までは利息、支払期日の翌日から実際に返済した日までは遅延損害金が発生し、それぞれの利率で計算します。
「借入日の利息」で説明しているように、貸金業者の利息は片端入れ計算(借入日または返済日をカウントしない)で行いますので、これを借入日算入・返済日不算入と考えると、支払期日当日は空白期間になって理論上は変な気がします。現在の実務を説明するには、貸金業者については借入日は利息計算では算入しない(借入日には利息は発生しない)と考えておく方がいいと思います。
利息制限法については「弁護士に依頼すると借金が減るわけ」でも説明しています。
モバイル新館の 「利息制限法の基礎知識」でも説明しています。
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