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短くわかる民事裁判◆
裁判官の除斥
 民事訴訟法は、裁判官(またはその配偶者等)が事件の当事者であったりその事件について一定の利害を有するとき、裁判官が当事者と一定の親族関係にあったり後見人等であったりするとき、その事件で証人や鑑定人、当事者の代理人等になったときなどは、その事件から除斥される(じょせき:担当できない)と定めています(民事訴訟法第23条)。
 この場合、その裁判官の方で、監督権を有する裁判所の許可を得て、自ら回避(かいひ)することができ(民事訴訟規則第12条)、そうすることが期待されていますが、裁判官が回避しないときは、その裁判の当事者が、その裁判官が所属する裁判所に対して除斥の申立てをすることができ(民事訴訟規則第10条第1項)、裁判所はその申立てにより、または職権で(申立てがなくても裁判所の判断で)、その裁判官に除斥の原因があるときは、その裁判官を除斥する裁判(決定)を行うこととされています(民事訴訟法第23条第2項)。
 除斥原因がある裁判官が判決に関与した場合、上告理由となり(民事訴訟法第312条第2項第2号)、再審事由ともなります(民事訴訟法第338条第1項第2号)。

 民事訴訟法上裁判官の除斥原因として次の事項が定められています。
●裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は事件について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。(民事訴訟法第23条第1項第1号)
●裁判官が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。(民事訴訟法第23条第1項第2号)
●裁判官が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。(民事訴訟法第23条第1項第3号)
●裁判官が事件について証人又は鑑定人となったとき。(民事訴訟法第23条第1項第4号)
●裁判官が事件について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。(民事訴訟法第23条第1項第5号)
●裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。(民事訴訟法第23条第1項第6号) ただし、この場合は、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない(その事件の裁判そのものを担当することはできないが、その事件を担当する裁判所から遠隔地などの事情で委嘱されて証拠調べ(のみ)を担当する(民事訴訟法第185条第1項)ようなことはできるということです)。

 除斥原因のうち特に問題となる前審の裁判に関与したときについては、「裁判官の除斥原因:前審の裁判への関与」で説明しています。

 民事裁判の手続全般については「民事裁判の審理」でも説明しています。
 民事裁判の登場人物についてはモバイル新館のもばいる 「民事裁判の登場人物」でも説明しています。
  

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