◆短くわかる民事裁判◆
再抗告審の審理
再抗告が申し立てられて原裁判所(地裁)から事件記録が抗告裁判所(高裁)に送られると、まず高裁の民事受付で事件記録符号(ラ)の事件番号が振られ、事務分配に従い担当部が決定され、事件記録が高裁の担当部に回されます。(再抗告の場合、最初の抗告である即時抗告・通常抗告とは違って、原裁判所段階で抗告状審査、抗告状副本の相手方への送達、抗告理由書の裁判所への提出が済んでいます。それについては「原裁判所での手続(再抗告)」で説明しています)。
再抗告の場合、抗告裁判所(高裁)は、事件記録が来た段階で、まず当事者(抗告人と相手方)に抗告記録到着通知書を送付することとされています(民事訴訟規則第205条但し書き、第197条第3項)。
民事訴訟規則の規定上、抗告裁判所(高裁)は再抗告が不適法でその不備を補正できないときや再抗告理由書が期間内に提出されないか理由の記載が民事訴訟規則の規定に違反している(これらの場合は本来原裁判所が再抗告却下決定をすることが予定されているのですが原裁判所が却下決定をせずに抗告裁判所に事件記録を送付したときということです)として再抗告を却下する場合以外は、相手方に再抗告理由書の副本を送達すべきこととされています(民事訴訟規則第205条但し書き、第198条本文)。しかし、口頭弁論を経ないで審理及び裁判をする場合において、その必要がないと認めるときは、この限りでないとされている(民事訴訟規則第205条但し書き、第198条但し書き)ので、実際に送達されることはほとんどないと思われます。
また、抗告裁判所が、再抗告について検討して、憲法その他の法令の解釈について最高裁判例と相反する意見となる場合は、事件を最高裁に移送することとされています(民事訴訟法第331条但し書き、第324条、民事訴訟規則第205条但し書き、第203条)。
実際には、大半の事件では、抗告記録到着通知書以外には当事者に連絡がないまま、再抗告審としての決定が特別送達で郵送されてくるか、決定が出たから取りに来るなら来てくれと連絡がある(取りに行かなければ郵送される)という形で終了していると思われます。
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