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短くわかる民事裁判◆
原裁判所での手続(再抗告)
 「再抗告の申立て」で説明したように、即時抗告は、抗告裁判所(高裁)宛の抗告状(こうこくじょう)を原裁判所(地裁)の民事受付に提出して行います。

 再抗告状が提出されると、原裁判所(地裁)の民事受付は、事件記録符号(ソラ)の事件番号を振った上で、原決定をした部に再抗告状を回します。

 即時抗告状の場合(それについては「原裁判所の手続(即時抗告)」で説明しています)とは違って、再抗告状の審査の権限は、原裁判所にあります(民事訴訟法第331条但し書き、第314条第2項)。
 即時抗告状の記載などの不備があったり、抗告手数料の納付がない場合は、原裁判所の裁判長が再抗告人に対して相当の期間を定めた補正命令を出し、抗告人が補正しない場合は、再抗告状の却下命令を出すことになります(民事訴訟法第331条但し書き、第314条第2項、第288条、第137条第1項、第2項)
 原裁判所の裁判長が再抗告状を却下したときは、その命令に対してまた即時抗告をすることができます(民事訴訟法第137条第3項)。原裁判所の裁判長の却下命令に対する即時抗告は、「抗告裁判所の決定」に対するものではないので、再抗告ではなく、通常の(最初の)即時抗告になります。
 再抗告が不適法でその不備を補正することができないときには、原裁判所が決定で再抗告を却下します(民事訴訟法第331条但し書き、第316条第1項)。再抗告ができない場合になされた再抗告や再抗告期間経過後の申立てなどの場合がこれに当たります。
 この場合も、その却下決定に対して即時抗告をすることができます(民事訴訟法第316条第2項)。この原裁判所の却下決定に対する即時抗告は、「抗告裁判所の決定」に対するものではないので、再抗告ではなく通常の(最初の)即時抗告になります。

 再抗告を受けた原裁判所(地裁の担当部)は、裁判長の再抗告状却下命令や抗告却下決定をする場合を除き、再抗告人に対して再抗告提起通知書を送達します(民事訴訟規則第205条但し書き、第189条第1項)。原裁判所は、再抗告の相手方に対しても再抗告提起通知書を送達し、その際には抗告状副本も送達します(民事訴訟規則第205条但し書き、第189条第1項、第2項)。
 再抗告理由書の提出期限は、再抗告人に再抗告提起通知書が送達された日から14日間となります(民事訴訟規則第210条)。再抗告人が期限内に再抗告理由書を提出しなかったときは原裁判所(地裁)が再抗告を決定で却下することになります(民事訴訟法第331条但し書き、第316条第1項第2号)。その期間を確定するため、再抗告人に対する再抗告提起通知書の送達は特別送達でなされます。
※抗告状の写しを相手方に送付することを定めた(と言っても、抗告に理由がないものと認めるとき、または抗告状の写しを送付することが相当でないと認めるときは送付しなくてよいという規定なので、実際には送付されないことが多いと思いますが)民事訴訟規則第207条の2が、再抗告の場合を除外しているのは、相手方に何も送らなくていいということではなくて、抗告状の副本を送達することになっているからなんですね。条文をそこだけ読むと、何故だと疑問に思いますが。

 抗告の場合(再抗告も含め)、抗告の対象である決定をした原裁判所あるいは抗告の対象である命令をした裁判長は、抗告に理由があると認める場合は、自ら原決定・命令を更生(こうせい:内容を改めること)しなければならないと定められています(民事訴訟法第333条)。これを裁判業界では「再度の考案(さいどのこうあん)」と呼んでいます。検討した結果抗告に理由がないと認めるときは、原裁判所は抗告に対する意見をつけて記録を抗告裁判所に送ります(民事訴訟規則第206条)。この意見は、多くの場合「本件抗告は理由がないものと思料する。」という程度の簡単なものと言われています(私が事件記録を閲覧して見たものは、そういうものでした)。

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