◆短くわかる民事裁判◆
4号〜7号再審事由と有罪判決要件
民事訴訟法第338条第2項は、4号〜7号の再審事由については、「罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。」と定めています。これを裁判・民事訴訟法業界では、「有罪判決要件」などと呼んでいます。
この趣旨について、最高裁1970年10月9日第二小法廷判決は、「同条2項が、同条1項4号ないし7号所定の事由をもつてする再審の訴について、有罪の確定判決等同項所定の事実の存在することを要する旨規定しているゆえんは、そのような再審の訴を、再審事由の存在する蓋然性が顕著な場合に限定することによつて、濫訴の弊を防止しようとするにあると解せられるから、右の場合に、同条2項所定の要件を欠くときは、再審の訴自体が不適法となり、同条1項4号ないし7号所定の再審事由自体については、その有無の判断に立ち入るまでもなく、右訴は却下を免れないものといわなければならない。」と判示しています。(判決で引用している民事訴訟法の条項は当時のもので第420条ですが、現在の民事訴訟法第338条に当たります)
つまり、この有罪判決要件が満たされない場合は、4号〜7号再審事由があるかないかの判断に立ち入るまでもなく再審請求は不適法なものとして却下すべきものというのです。
他方、この判決では、「そのような事実の存在する以上、再審裁判所は、その判決または処分の判断内容については、その当否を問うことなく、再審の訴は右適法要件を具備したものとして、さらに、1項4号ないし7号所定の再審事由について審理判断をすべきものというべきである。」として、確定有罪判決等(この事件では起訴猶予処分)がある以上その当否は問わないとしています。
4号〜7号再審事由については、この有罪判決要件が課される結果、再審事由を「控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき」、「知りながら主張しなかったとき」(知りながら上訴しなかったときも)(民事訴訟法第338条第1項但し書き)への該当性、再審期間(民事訴訟法第342条)の起算点も有罪判決要件を満たしたことが前提となり、この点は再審請求者に有利な条件になります(最高裁1972年5月30日第三小法廷判決:「有罪判決要件と控訴・上告対応」、「有罪判決要件と再審期間」で詳しく説明しています)。
「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」については別のページで詳しく説明します。
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再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
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