庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
再審の対象となる判決
 再審の訴え(再審請求)の対象は、確定した終局判決です(民事訴訟法第338条第1項柱書)。
 訴えに対してその手続を終わらせる判決(終局判決)であれば、原告の主張した権利や法律関係についてその有無と正当性などを判断した本案判決(ほんあんはんけつ)はもちろん、そうでない訴えを不適法として原告の主張する事実について判断しない訴訟判決(そしょうはんけつ)つまり訴えを却下する判決に対しても再審請求は可能です。(本案判決、訴訟判決については「本案判決とは」で詳しく説明しています)
却下判決に対しては、原告は再訴が可能ですから、再審によらなくてもいいことが多いですが、却下判決にもその却下理由とされた点(その訴えが不適法とされた理由)については既判力があり(最高裁2010年7月16日第二小法廷判決)、その点を是正しないで再訴しても却下されることになりますので、不適法と判断した却下判決を再審で取り消す必要がある場合があり、また再訴では時効や遅延損害金(期限の定めがない債務で訴状送達で遅滞となる場合など)の点で不利になる場合など、却下判決に対して再審請求をするメリットがあり得ます。

 第1審判決に対して控訴、上告して最終的に不服申立ての手段が尽きて確定した場合、第1審判決も控訴審判決も上告審判決も(上級審で取消・破棄された場合以外は)それぞれが確定した終局判決ですので、その判決に再審事由があれば、いずれも再審請求の対象とすることができます。
 ただし、控訴審が本案判決つまり裁判の対象として主張されている権利や法律関係についてその有無・内容を判断した判決をした場合は、第1審判決に対しては再審請求をすることができません(民事訴訟法第338条第3項)。この場合は、控訴審判決(と上告審判決)だけが再審請求の対象となります。したがって、その場合には第1審判決についてだけ再審事由がある(控訴審判決には再審事由がない)というときは、再審請求はできません。
※民事訴訟法のこの条項は「控訴審」が本案判決をしたときのみを定めていますので、上告審が上告棄却の本案判決をしてもそれにより第1審判決や控訴審判決に対する再審請求ができなくなることはありません(上告認容=原判決破棄の場合は、控訴審判決が破棄されることで再審請求の対象がなくなりますので控訴審判決に対する再審請求はできなくなります)。

 最高裁判決に対する再審請求が可能かどうかと、する価値があるかについては、「最高裁判決に対する再審請求」で検討・説明しています。

 私に再審の相談をしたい方は、「再審メール相談」のページをお読みください。

 再審については「再審請求の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる「再審請求」でも説明しています。

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話