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短くわかる民事裁判◆
建物明渡請求の訴訟物の価額
 建物の明渡しと未払いの賃料(家賃)、賃料相当損害金の請求をする場合は、訴訟物の価額は、明渡しを求める建物の固定資産評価額の2分の1になります(訴訟物の価額の算定基準について」1956年12月12日最高裁民事局長通知→こちら)。

 明渡しを求める建物の価額は、その建物の固定資産評価額になります。建物の場合、土地とは違って1994年3月28日付最高裁民事局長通知によって当分の間2分の1の額を用いるの対象ではありませんので、固定資産評価額そのものを用います。明渡しを求める範囲が、建物全体ではなくその一部の場合は、床面積に応じて按分(比例計算)します。
 物の引渡を求める請求については、訴訟物の価額はその物の価額の2分の1とされていますので、結局、建物明渡請求の訴訟物の価額は、固定資産評価額の2分の1になるのです。

 次に未払い賃料と賃料相当損害金の請求については、物の引渡とともにその物の使用料を請求する場合、その使用料の請求は、附帯請求(ふたいせいきゅう)と扱われますので、「印紙額計算の基準:訴訟物の価額」で説明したとおり、訴訟物の価額に算入されません(民事訴訟費用法第4条第1項、民事訴訟法第9条第2項)。

 その結果、建物明渡請求では、訴訟物の価額は、全体として、明渡しを求める建物の固定資産評価額の2分の1になります。

 このように固定資産評価額が訴訟物の価額の算定基準となっているので、建物明渡請求など、不動産に関する訴訟では対象となる不動産の固定資産評価証明書を訴状に添付します(写し不可)。

 訴え提起手数料については「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「裁判所に納める費用(民事裁判)」でも説明しています。
  

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