◆短くわかる民事裁判◆
事件名の記載
民事訴訟法で要求されているものではありませんが、訴状には「事件名」を記載するのが通常です。
裁判所の事件記録の表題や判決での事件名表記は、原則として、原告が訴状に記載した事件名をそのまま使用します。
ふつうは、原告が請求する権利の性質というか種類に応じて、「貸金請求事件」とか「建物明渡請求事件」とか「地位確認等請求事件」(解雇・雇止め事件ではふつうこうします)とか「損害賠償請求事件」とか記載します。しかし、その名付けのルールはなく、固有名詞を入れてもかまいません。原発訴訟などでは固有名詞を入れる方が多く、例えば2021年1月22日付で提訴した日本原燃六ヶ所再処理工場の変更許可処分の取消を求める裁判の事件名は「六ヶ所再処理事業所再処理事業変更許可処分取消請求事件」です。
もっとも、あまり変な事件名をつけると裁判所が別途事件名をつけるかも知れません。
この記事を書くのに、好奇心から、最高裁判所民事判例集掲載の事件の事件名をひととおりチェックしてみましたが、突飛な事件名はありませんでした。皆さん、わりとまじめに名付けているということなのか、度外れた/ふざけた事件名がついたときは裁判所が修正しているのかはわかりませんが。
なお、報道等で用いられている事件名は、それとは別に、報道ではマスコミが、裁判業界で通称とされているものは判例雑誌が名付けたものが用いられるのがふつうです。
それについては「事件の通称」で説明しています。
訴えの提起については「民事裁判の始まり」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴えの提起(民事裁判の始まり」でも説明しています。
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