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短くわかる民事裁判◆
即時抗告理由書
 即時抗告を申し立てた後、即時抗告状に抗告の理由を具体的に記載していない場合、抗告理由書を作成して提出します。
 即時抗告状に抗告理由を記載してしまうと、抗告人の理由書提出を待たずに決定されてしまうリスクがあります(そのようなケースを「即時抗告状への理由記載」で説明しています)ので、即時抗告状(裁判の告知を受けた日から1週間以内に提出しなければならない:民事訴訟法第332条)には理由を書かず、追って理由書を提出すると記載しておくのが通例です(→「即時抗告状の記載事項」)。

 抗告理由書(こうこくりゆうしょ)は、抗告をした日(抗告状が裁判所に届いた日)から14日以内(抗告をした日の翌々週の同じ曜日。ただしその期間の末日が土日祝日あるいは12月29日から1月3日の年末年始期間の場合、次の平日まで)に、原裁判所に提出することとされています(民事訴訟規則第207条)。抗告理由書は記録が原裁判所にあるうち(抗告裁判所に行って事件番号がつく前)に提出しますので、地裁の事件であれば(ソラ)番号、簡裁の事件であれば(ハソ)番号で書きます。
 上告理由書(じょうこくりゆうしょ)や上告受理申立て理由書(じょうこくじゅりもうしたてりゆうしょ)とは違って、この期限に遅れたら直ちに却下されるということにはなっていません(上告についての規定が民事訴訟法第331条で準用されていないため。控訴理由書について提出期限を守らない場合でも却下されないのと同じ)。実際には抗告に対する決定はかなり遅いこともままあります。しかし、期間経過後は、裁判所が抗告に対する決定を待ってくれる保証はないということになります。
 抗告理由書は、ファクシミリでの提出が可能です(控訴理由書と同じ)。

 抗告理由として何を書くべきかはケースバイケースというしかありませんが、原決定に当たって主張したことをそのまま記載するという(ありがちではありますが)理由書は、一般的にいっても裁判官の心に響かず、「即時抗告状への理由記載」で紹介しているような裁判官の様子に照らしても、かえって早期棄却を招くだけという気がします。

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