庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

短くわかる民事裁判◆
費用計算書:期日日当
 裁判で支払が命じられる訴訟費用には、当事者が現実に支出・立替している費用以外に、みなし計算で計上できるものもあります。その代表的なものが、当事者本人または代理人の期日日当です。これは誰かにかかわらず(本人であれ弁護士であれ)一律に1日につき3950円です(民事訴訟費用法第2条第4号ロ、第5号、民事訴訟費用規則第2条第2項第2号)。
 被告側では、実質的にこれが一番大きな額になることが多く、訴訟費用額確定処分を申し立てるか、原告側の申立てに対する意見書で記載する材料となります。

 対象となる期日は「口頭弁論又は審問の期日その他裁判所が定めた期日」とされています(民事訴訟費用法第2条第4号)。口頭弁論期日弁論準備期日和解期日進行協議期日等はいずれもこれに含まれると解されています。
 判決言渡期日は、当事者の出席を必要とせず(民事訴訟法第251条第2項)、実際行かないのがふつうになっていますが、それでも出席したのであれば、除外する必要はなく、期日日当を請求できます(2018年度書記官実務研究報告書「民事訴訟等の費用に関する書記官事務の研究」29ページでも「判決言渡期日を含む」と記載されています)。
 弁論準備期日に裁判所に行かずに事務所で電話会議により参加した場合も、日当の対象としてよいとされています(札幌高裁2014年6月25日決定。最高裁2014年12月17日第二小法廷決定がこれを是認して許可抗告を棄却:判例時報2291号16~17ページ)。現在は、双方に弁護士が代理人としてついている事件ではマイクロソフトのTeamsを利用したWeb会議で弁論準備等の期日を行うことが多くなっていますが、これも当然に訴訟費用額確定処分では日当を計上できることになります。
 日当は1日あたりとされています(民事訴訟費用規則第2条第2項第2号)ので、同じ日に続けて別の種類の期日(例えば、弁論準備期日実施中に口頭弁論期日でないとできないことが生じると、その場で今から口頭弁論期日として行うなどはわりとあります。現在は弁論準備期日でもなんでもできるようになりましたので、そういうことは今後はほぼないと思いますが)が開かれても日当は増えません。

 当事者と訴訟代理人(弁護士)がともに出席した期日は、「当事者等が出頭命令又は呼出しを受けない期日に出頭した場合」は、訴訟代理人の方は日当の対象になりません(民事訴訟費用法第2条第5号)。どちらが対象でも、結果的に、1期日に1人分の日当ということですが。実際上は、本人尋問の日は、当事者本人と訴訟代理人の2人分の日当が認められます。実務上、人証申請で本人を「呼出し」で申請することはなく、「同行」(代理人が法廷に連れてくるという趣旨)で申請して裁判所は呼出状を出さないのがふつうです。民事訴訟費用法の文言からすると、尋問期日に「呼出し」を受けないとカウントされないようにも見えますが、呼出状を出さない場合でも、尋問期日は、2人分の日当が特に問題なく認められています。

 訴訟費用とその取り立てについては「訴訟費用の取り立て(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「訴訟費用の負担(訴訟費用の取り立て)」でも説明しています。
  

**_**区切り線**_**

短くわかる民事裁判に戻る

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ

民事裁判の話民事裁判の話へ   もばいるモバイル新館 民事裁判の話