◆短くわかる民事裁判◆
訴訟救助申立
訴訟救助を申し立てるときは、訴状には印紙を貼らずに、訴状と一緒に訴訟救助申立書を提出します。民事受付はここで訴訟救助申立を訴えとは別に(モ)番号を振って受け付け、訴状とともに担当部に回します。訴訟救助については、訴えた事件を担当する裁判官が審理して決定をします。
訴訟救助の要件は、訴訟費用を支払う資力がないことと勝訴の見込みがないとはいえないことです(民事訴訟法第82条第1項)。この要件は、法テラス(司法支援センター)の援助の要件と同じです。
それで、昔は、法テラスの前身の扶助協会の法律扶助を受けていることの証明書だけで訴訟救助が認められていた記憶がありますが、近年の東京地裁では、それだけでは認めてくれません。
収入と資産についての資料、例えば給料明細書とか預金通帳の写しをつけて、収入や資産が少ないことを書いた報告書を出します。近年は、「家計全体の状況」(↓の図参照)という破産申立の際に使う書式を利用して申立前2か月分か3か月分の収入と項目ごとの支出額を書いて提出することを求められます。裁判所が申立の際に提出したものをチェックして、それでは足りないと追加の報告書なり資料を求めることもあります。「家計全体の状況」に記載した水道光熱費等について、領収書等の裏付け資料を出せといわれることもあります。
こういった提出資料は事件記録に綴られ、事件の相手方(被告)は当然、記録の閲覧も謄写もできます(民事訴訟法第91条)。訴訟救助の決定は、訴状副本とともに被告にも送達される扱いとなっているので、被告は訴訟救助決定があったことを知ることができます(被告は、訴訟救助決定に対して不服申立ができます→「訴訟救助に関する決定に対する不服申立て」で説明しています)。そうすると、実際にはあまり多くないと思いますが、原告が訴訟救助のために提出した資料を被告がまるまる謄写することもできます。近年は個人情報についてとても敏感な人が増えていて、預金通帳とか生活費の支出状況なんて資料を裁判の相手方に知られることは避けたい人が少なくないと思うのですが、訴訟救助の申立をする以上、こういう資料を提出せざるを得ないの実情です。
訴訟救助については「裁判所に納める費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
モバイル新館の 「訴訟費用が払えないとき(訴訟救助)」でも説明しています。
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