◆短くわかる民事裁判◆
高裁による特別抗告却下決定
民事訴訟法は、上告について、@上告が不適法でその不備を補正することができないとき、A期間内に上告理由書を提出しないとき、B上告理由の記載が最高裁判所が規則で定める方式によって記載されていないときには、原裁判所(控訴審の裁判所)が、「決定で上告を棄却しなければならない」と定め(民事訴訟法第316条第1項)、民事訴訟法第336条第3項によりこの規定が特別抗告にも準用されていると考えられています。
それで、特別抗告理由書に記載された抗告理由が抗告理由の体をなしていないようなときには、最高裁判所規則で定める方式(憲法違反の場合は「憲法に違反する事由を示してしなければならない」、上告の理由は具体的に記載しなければならないなど:民事訴訟規則190〜193条)に違反しているとして、高等裁判所が事件を最高裁に送ることなく却下決定をすることがあります。そうなると、高裁の決定に対して特別抗告をしても、最高裁の目に触れることなく、特別抗告の対象となる元の決定をした裁判所自身の判断で、葬り去られてしまうことになります。
この場合は、この却下決定自体が高等裁判所の決定なので、これに対してさらに抗告許可申立てや特別抗告をすることができます。
抗告許可申立てをして認容された例について「高裁による特別抗告却下決定に対する許可抗告」で説明しています。
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